「自分の本当にやりたい仕事で十分な収入を得て、私生活も充実している」人と「毎日忙しくて、自分のやりたいことなんてできない」人の差はどこにあるのか……。経営コンサルタントとして約30年間、3万人以上の経営者・起業家・エグゼクティブと接してきた上野光夫氏が見つけ出した、成功者たちの"成功の秘訣"は「時間の過ごし方の違い」だった!

新型コロナウイルスの影響で「通勤時間」という概念がなくなりつつある現在では、その重要性はさらに高まっています。成功者たちが実践している「時間の過ごし方」について語ってくれました。

※本記事は、上野光夫:著『成功者の自分の時間研究』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです​。

成功している人は決して「スーパーマン」ではない

以前、ある芸能人Aさんについて、おもしろい噂がありました。「Aさんは、この世に3人存在している」という噂です。

多くのテレビ番組に出演しながら、歓楽街で朝までお酒を飲んでいるといった目撃情報があり、プライベートでもさまざまな活動をしているからです。

「ひとりの人間に、こんなにいろんなことができるわけがない」ということで、"複数のAさんがいる"という噂が生まれたのです。

世の中には、残業もしないのに仕事の生産性が高く、できる人だと評価され、プライベートでの活動も充実させて楽しんでいる人がいます。こうした、スーパーマンのような人は、周囲から羨望の眼差しを集めていますが、彼らは決して超人的能力を持っているわけではありません。ごく普通の人間です。

でも、仕事は多忙を極めていても、しっかりと終わらせて、アフターファイブや休日は勉強や趣味、スポーツに旅行などを楽しんでいるのです。

▲成功している人は決して「スーパーマン」ではない イメージ:PIXTA

たとえば「転職を繰り返してスキルを磨き、副業でもお金を稼いでいる30代前半の会社員」がいました。彼とは、起業相談のために私の会社に足を運んでくれたことで知り合いました。

大学を卒業する前から起業を目指しており、そのために複数の企業での仕事を経験して、スキルとノウハウを磨いてきたのだそうです。人脈も豊富で100人ほどが在籍する、起業家コミュニティをつくり上げていました。

最も驚いたのは、副業により、たったの3年で数千万円ものお金を貯めていたことです。

会社の仕事、起業家コミュニティの活動、副業と3つのことに取り組みながら、趣味の野球もやっています。活動量が圧倒的に多く、驚くばかりでした。

「複数の事業を起こして、毎年増収増益を達成し続け、人の雇用も増やしている経営者」もいました。寝食を削って仕事しているのだろうと思いきや、毎日6時間は睡眠をとっており、趣味のマラソンやトライアスロンのためにトレーニングを欠かさず、世界中の大会に数多く出場しています。

「大企業において重要なポストにいながら、仕事とは関係ない講演活動でも活躍し、オーケストラでヴァイオリンを弾いている会社員」もいました。

こうしたスーパーマンのような人と、その他大勢との違いはなんでしょうか。

理想の自分を作るためには「自分時間」を作る

人間は例外なく「欲求」を持っています。1年前の自分よりも今年は「知らなかったことを知りたい」「できなかったことが、できるようになりたい」「スキルアップしたい」「◯◯をしてみたい」という願いを持っているものです。

あなたも、仕事やプライベートに関することで、年始にいくつかの目標を掲げた経験があるのではないでしょうか。しかし、思い通りに実現しないので、いらだちや不安を抱えている人が多いのが現実です。

実現しない大きな理由が「自分のやりたいことをする時間がない」というものです。

日中は、会社の仕事に拘束されます。会社の仕事にまじめに取り組めば、スキルやノウハウは身につきますが、どうしても日々の業務に関係する狭い範囲に限られてしまいがちです。

毎日の仕事に流されているうちに、あっという間に年月が経過して、気づいたときには「なりたい自分」とは、かけ離れてしまいます。

しかし「理想の自分を実現できている」と、自信を持っている人がいるのも事実です。そんな人たちに話を聞いてみると、共通点がありました。「自分の時間」をつくり、幅広くスキルやノウハウを磨くことを習慣化しているということです。

▲理想の自分を作るためには「自分時間」を作る イメージ:PIXTA