立ち飲みは出会いの場である

仕事で函館に来ました。昼間は撮影やらいろいろと忙しかったので、夜ご飯は好きなものを食べようと繁華街をふらふらとしました。

同行したお笑いコンビ・イワイガワの岩井ジョニ男さんとイラストレーター・師岡とおるさんは、しょっちゅう酒席をともにする気の知れた間柄だから「飲みに行きましょう」「いいね」「いい店があるんです」「いいねいいね」って感じで、気軽に付き合ってくれるからありがたい。お酒が好きな人に、悪い人はいないって改めて思いました。お酒を飲むと悪くなる人がいるけど、それはまた別のお話ということで。 

▲今夜のお店は菊水小路にある「ヒンナ」。店名の由来はのちほど

今年の1月にオープンしたばかりのこちらのお店は、韓国出身の店主が営む立ち飲み店です。中華料理の立ち飲みはいくつか都内にもあるけど、韓国料理の立ち飲みは珍しい。というか、初めての体験かもしれない。

そして、このお店の情報はネットにもほとんどなく手探り状態ですが、店構えを見た時に、この質素な外観に私はぐっときた。これはいい店に違いない。なにがどうと具体的には説明できないのだけど、直感に近いものがあります。これは経験でしか手に入らないんだ。さて、講釈は後にして中に入りましょう。

▲「いらっしゃいませ」と店主の申(シン)さん

ガラッとドアを開けたら、すぐに「いらっしゃいませ」の声がかかりました。ニコニコとした表情は、3人の闖入者を歓迎してくれている様子がよく分かります。函館の夕方はぐっと気温が下がるから、店内の温もりが嬉しい。

メニューを見ると、韓国料理のメニューがずらっと並びます。ここは立ち飲みだけど、れっきとした韓国料理屋なんです。店内には韓国の食材やビールがレイアウトされていますね。さて何を食べようかな。

▲冷蔵庫のラインナップも普通じゃないです

心惹かれるドリンクはいくつかあったけど、せっかくなので最初はサッポロクラシックにしましょう。こちらは北海道限定ビールとして知られています。沖縄で飲むオリオンビール同様、北海道で飲むサッポロクラシックはうまい。

プルタブを開けてグラスにそそげば、雪原のような白い泡。クリーミーできめ細やかな泡を、黄金の液体の上にいい塩梅で丁寧に重ねる一瞬こそ、飲んべえの腕の見せ所。さて、函館の夜に乾杯といきましょう。

▲哀愁芸人・岩井ジョニ男さんとかんぱーい!

ぐはー。いやあ、うまい。旅先のビールよりうまい飲み物ってこの世にあるのかしら。おっさんになるとすぐにビールが腹に溜まるし、2杯目からはウーロンハイにチェンジする大人たちをたくさん見てきた。

だけど地方に来るとビールがうまく感じる。なぜかと考えたら、つまみがうまいからだ。地方の名産品って、たいてい味が濃いからビールとよく合うんじゃないかって。だから40歳を超えたおっさんでもいくらでも飲める。

だが、調子に乗ってはいけない。だってあたしは痛風だから。カニみそ・うに・いくら、この日は私の中でプリン体が大渋滞を起こしていた。そこにビールが玉突き事故を起こして、痛風の発作が出たんじゃたまらない。ゆっくりと飲むことにしましょう。