早大OBに守られた創業80年の酒屋
飲み屋に物語があることを私たちは普段気にしない。なぜ、そこにお店があるのか。人生と同じように。『もちだ酒店』という店にお邪魔します。古めかしい名前のお店ですが、店主はまだ20代の若者。この店にはドラマがあるんです。
こちらは、もともと早稲田で古くから続く酒屋さんでした。近隣のお店への宅配に、早稲田大学の体育会の学生をアルバイトに雇ったりすることで、学生からもおなじみで、街では有名な酒屋さんだったそうです。だけど、時代の波には逆らえず、80年の歴史に幕を下ろして廃業することになった。
すると、店の火を消してはいけないと立ち上がったのが今の店主でした。彼は学生時代にこの店でバイトをしていた縁から、お金を集めて、昨年の10月に立ち飲み屋として再生させたのです。
早速、店内に入ってみましょう。カウンターの他にテーブルもありますが、みなさんは立って、店主や隣のお客さんと飲むスタイルがお気に入りみたいです。さて、なにを頼もうかしらとメニュー表を見ると、おいしそうなつまみがたくさんあるじゃないですか。
若い人がやっているお店だけど、なんというか、老若男女に受け入れられそうなラインナップばかり。さらにほとんどが自家製ときた。お酒と一緒にいくつか注文しましょうね。私の一杯目はもちろん酎ハイ。オーダーしてから30秒もたたないうちに、金宮をソーダで割った上等な飲み物が出てきました。
さあ、乾杯。店内は軽くリノベーションしたんでしょうか。清潔感があって、女性の一人飲みでも問題なく溶け込めそう。若者が持つウェルカムさが店内に溢れています。
そんなことを考えながらまずは酒を一口。はぁー、今日もお酒が体にしみる……。酎ハイのうまさに酔いしれていると、最初のつまみが届きました。
さて、痛風の敵といえば、プリン体。あいつらのおかげで、私の足はパンパンに腫れて涙を流すわけですが、意外とカツオに含有量が多いことは知られていません。ちなみにカツオ節も多いから、我が家の味噌汁はアゴだしを使っています。でも、ときどき無性に食べたくなるんですよね。
カツオ漬けは、ニンニクがたっぷりきいていて、魚の臭みが苦手という人も問題なくいただけます。醤油ベースのタレに漬け込んだカツオはギュッと身が締まっているから、濃厚でねっとりとした旨味が口の中で踊り出すわけです。これはうまい!