決められた仕事をしているだけでつまらない。30代以上になって中堅社員になったり、役職がつけば、ルーティンワークから離れて「クリエイティブ」になり、大きな企画や仕事をすることが求められるようになりますが、若手時代は頼まれ仕事ばかりで、特にそう感じている人も多いでしょう。Perfume・きゃりーぱみゅぱみゅ・三戸なつめ等、数々の有名アーティストのクリエイティブに関わった音楽プロデューサーが、現代のビジネスマンにとって必須の能力である「クリエイティブ」の育て方を教えます。

※本記事は、中脇雅裕:著『あなたの仕事はなぜつまらないのか』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

感情にタグ付けしてみよう

例えば作曲家が「悲しい曲を作って欲しい」という依頼を受けたとします。

しかし、一口に「悲しい曲」といっても“悲しい”にはさまざまな悲しさがあります。それは例えば失恋の悲しさなのか、だとしたら、どんな人生を送った人が、どんな恋愛の結果別れた失恋なのか……そのパターンは無限にあるでしょう。

優れたクリエイターは、この「さまざまなタイプの悲しさ」を、たくさん引き出しに持っていることで、それらの中から選び、依頼された内容にあった感情の表現をすることができます。

よく、人生経験の豊富さが肥やしになる、というようなことを言いますが、これはこうした「さまざまな感情の引き出し」を持つ、という意味です。

ところが、どれだけのことを経験したり、見聞きしても、そのことを引き出しにしまっておけない人もたくさんいます。

この違いは一体どこから来るのでしょうか?

優れたクリエイターが、どのようにして、そうした「引き出し」を持っているか。それが、経験や見聞きしたことに、感情をタグ付けして保管している、ということになります。

たくさん感動する人は「欲望」が強い

例えば、自分の好きな食べ物には“好き”という感情が紐づいています。好きではない食べ物でも、大好きな恋人と一緒に食べたものなら「楽しかった」「素敵な時間だった」という、好ましい感情が紐づいているかもしれません。

しかし、ただ何気なく日々の生活を過ごしていると、なにも感情が紐づかないまま、経験だけが通り過ぎていくことになります。よく言うことではありますが、たくさん感動している人ほど、感動を生み出すことができます。それは、こうした「感情がタグ付けされた記憶」がたくさんあるからこそです。

では「たくさん感動する人」と、そうでない人の違いはなんでしょうか? その答えは“欲望”を持っているかどうか。

潜在意識からワクワクするような欲望を持つことで、それを達成するために脳が情報を探すようになります。

▲経験を積むことで想像力も広がる イメージ:PIXTA