「常に100%の力を出せてこそ、一流と言える」……。仕事で大成功を収めた人の言葉や、巷にあふれるビジネス本、さまざまな場所で、みなさんはこのような言葉を聞いたことがあるかと思います。納得する方も多いことでしょう。しかし、「ここぞ!というところで力を発揮する」ことができるのは、逆に言えば「ここぞというところ以外で手を抜いている」とも言えるはず。「ハック」ブームの仕掛け人でもある佐々木正悟氏が、手を抜く仕事術について紹介します。

※本記事は、佐々木正悟:著『すごい手抜き』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

スピードが求められる時代に完璧さはいらない

作家として、筆者は次のことを学びました。「酒に酔いながら書き、しらふの状態で編集する」評価することなく、心に浮かんだことを書き連ねるのです。そのあと、大事ではないことを削って徐々に改善していきます。

『失敗の恐怖をモチベーションにしない。「完璧主義」をやめて「達成主義」で仕事しよう』:ライフハッカー[日本版]

 

これは「ライフハッカー」という仕事術サイトの記事からの一節です。酒を飲んだ状態でも仕事を進めるという、斬新な仕事法が紹介されています。手抜きをするというのは、「状況によっては手抜きをしてもいい」という発想を持たない人にとって、おそろしくて不真面目なことです。

仕事で手を抜くなんてとんでもない、という考えの人が普通だと思います。

しかしそれが普通ではありますが、あらゆる仕事を完璧にするべきかと言えば、そんなことは決してありません。世の中の誰もが、あらゆる仕事を完璧にこなしているわけではないのです。みんなが完璧な仕事をしようと思ったら、仕事はどんどん遅れ、社会はめちゃくちゃになってしまうでしょう。

つまり、こういうことです。「仕事で手を抜くなんてとんでもない」という考え方は「普通」ですが、「必要ならば手を抜くことも仕方がない」という発想も「普通」なのです。

こういう状況の中で「普通」でないのは、「仕事はなんでも完璧にしなければならない」と考えていて、しかもそれを実行している人です。仕事においてまったく手が抜けない人こそ、実は「普通」ではないわけです。

「普通」ではないなら、天才的な大成功を収める人たちかといえば、それも違うでしょう。与えられた仕事をなんでも完璧にこなそうとする人は、他の人よりどうしても仕事の進むスピードが遅くなってしまうからです。今のようなスピードが求められる時代に、なんでも遅れがちな人が大成功を収めることができるとは、ちょっと思えません。

ほろ酔い気分だと「手抜きでもよい」と思える

実際、何もかもを完璧にしたいと思っていても、何もかも完璧にできる人など、実在しません。人間は、完璧な存在などではないからです。「完璧主義」と呼ばれる人たちも、そのことは薄々わかっているはずです。どこかで手抜き、妥協を迫られていると。

ではどうしてそれができないのかというと、実は「怖いから」なのです。完璧を追求し、そのために妥協せずどこまでも頑張ったという事実を、自分の中で保っていないと、不安なのです。

冒頭で引用したプロの作家は、「酒を飲んでモノを書く」のです。これは不安心理と戦うために、アルコールで気を大きくして、モノを書いているわけです。ただそれではまともな文章にならないから、後で直す。完璧主義な人の不安心理とは、これほどまでに深刻なモノなのです。

そんな人は、プロの作家でなくても、少しほろ酔い気分にでもなってから仕事をしたほうがいいと思います。でも実際、酔っ払った状態ではたらくわけにもいかないでしょうから、そのアルコールの代わりを本記事が果たしたいと思います。

「手抜きは悪くない」そう考えましょう。これは失敗に対する不安から、完璧を求めるような人には、アルコールにも匹敵するほど「とんでもない考え」のはずです。

これでも効果が弱いようなら、いっそこう考えてみてください。「手抜きはよいことだ」