本当に怖いって感じる雰囲気を作ってくれました
――今作は全編台湾での撮影でしたが、台湾の雰囲気はいかがでしたか?
市川 台湾は初めて行きました。撮影場所でお借りした萬國戯院は、すごく素敵な劇場でした。少し異質な空気感が漂っているというか。そういう雰囲気も作品のいいスパイスになっているなと感じましたね。
慣れない場所で、現場と宿泊しているホテルの往復の日々だったので、気持ちを切らさずに集中できる環境で撮影に臨めたのが、個人的にはすごく助けられたなって。最終日に少しだけ観光もできて、撮影も終わっていたので解放されてすごく楽しかったです(笑)! またプライベートでも旅行で行きたいですね。
――台湾の空気が、作品の世界観をより引き出していますよね。今回、市川さんとW主演を務めた月船さららさんについてもお伺いしたいのですが、第一印象はいかがでしたか?
市川 月船さんとは以前、別のお仕事でご一緒していて、そのときは役の関係性がフラットだったので、普通にお話しさせていただいていたんです。ただ今回は役の関係性があるので、裏で二人きりで待ちのときも、ほとんど会話をしなかったんですよ。
今思うと、ずっとそういう近づきがたい空気を出して下さっていたんだなって思います。僕もそっちの方がやりやすかったんですけど、撮影中盤くらいに僕が“本当にちょっと苦手かも、怖いな”って思うくらいの雰囲気でした。
――撮影が進むにつれて、本当に怖いと思うくらいに緊張感が増していたんですね
市川 でも月船さんがオールアップのときに僕にハグして下さって、笑顔で“怖かったでしょ?”って言ってくれて、もう素直に“怖かったです……”って白状しちゃいました(笑)。裏での立ち振る舞いはすごく勉強になりましたし、作品にいい影響を与えてくれたので、すごくありがたいです。ただ中盤は本気で怖かったです(笑)。でも最後の一言で大好きになりました!
――第1作の主演でもある竹中直人さんも今作に出演していますが、竹中さんから何かお話しはありましたか?
市川 竹中さんとは同じシーンがなかったということもあって、じっくりお話しする機会はなかったんです。ただクランクイン前日に食事会をして、本当にたわいもないお話しをさせていただきました。その食事会も竹中さんがお話を回して下さって、そういう姿は見習いたいです。
――さすがですね! 竹中さんの出演シーンもコミカルな雰囲気でしたよね。
市川 そうなんですよ。実際に出来上がった映画を見たら、竹中さんがふざけ倒していて(笑)。全然台本に書いてないことをやられていて、鼻歌とかも全部アドリブ。生意気なんですけど、緩急がついて、作品にもいい作用を及ぼしていると思います。
しかも竹中さんは、初日に全シーンの撮影だったので前日に盛り上げて、初日に撮影して颯爽と帰っていくのがすごくかっこよくて。次にお会いしたら感想を聞いてみたいです。
――では最後に来年、30代に突入する市川さんですが、30歳の俳優として目指す目標を聞かせて下さい。
市川 今回でいう竹中さんのように、作品にエッセンスを加えられるよう、もっと器用に柔軟に演じられるようになりたいです。でも本音も言えば、まだまだ先輩方と共演して、もっといろいろなことを吸収していきたいです。ただ後輩からも学ぶこともたくさんあります。間の世代だからこそ一層頑張りたい思いです! 役の環境が広がると思うので、経験値も増やしていきたいです。