配達員の脳内にだけ許される特権

▲二郎系などガッツリ系をよく注文するお得意さん イメージ:PIXTA

中央区のローソンで、二郎系のラーメンや、ニンニクのきいたメガ盛りペペロンチーノを注文するお客さんは、緊急事態宣言以降、深夜によく注文をしてくれるお得意さん。ウーバーでは珍しいことではありますが、何度か配達したことがあります。

というのも、都心部では22時を過ぎると配達依頼が少なくなるため、配達員たちの多くは新宿や六本木エリアに移動してしまうのですが、スカスカになった中央区内で待機していると、こちらのお客様からの注文を数度受けたことがあるのです。

注文した商品は「置き配」設定で届けているので、お客様の顔を見ることがありませんが、住んでいるのは1人暮らし用のマンション。「私も若いときには夜中にコッテリしたものを食べたよなぁ」なんて想像しながら配達していたら、4回目の配達商品の中に「メイク落とし」があることに気付いてしまいました。

▲想像力は人間にしかない、と聞いたことがあります イメージ:PIXTA

お客さんの顔も見たことがありませんし、声も聞いたことがないので、この方が女性であるとは言い切れません。もしくは彼女や、ゆきずりの女性が泊まりにきたのかもしれませんが、ちょっとした情報から注文者の人生模様を想像できるのは、ウーバーイーツ配達員の特権なのかもしれません。

一方、秋葉原の某丼屋でニンニクたっぷりのすた丼(肉&ご飯大盛り)と、トッピングのキムチを配達したのは今年の夏の夜のこと。配達先は、まさかの御茶ノ水方面……。実は秋葉原と御茶ノ水の間には急な坂道があり、日が落ちたとはいえ夏場にこの坂を登るのはつらいのです(特に今年はマスク着用なので、より一層厳しい)。汗だくになりながら坂道でペダルを踏み込み、ようやくのことでたどり着いたのは丘の上にある物件。

▲スリムな女性ほどよく食べる? イメージ:PIXTA

ヘトヘトになりながら指定された部屋のインターホンを押すと「はーい」と聞こえてきたのは、またしても若い女性の声ではありませんか! いつものように目を合わさずに接客をしたら、お決まりのように見えた靴は女性ものばかり。しかも同じようなサイズが2~3足しかない。チラリと見えたのですが、ほっそりとしたおみ足のラインがそれはそれはきれいだったのが印象的です。

さすがに、これから大盛りの丼を食べる女性の顔を凝視するのは失礼だと思い(個人的興味はとてもあります)、商品を渡すと踵を返します。「8…7…6…」と数字が減っていくエレベーター内のオレンジ色の表示をぼんやり眺めて1階で降りようとした瞬間、大きなリュックを背負った配達員と鉢合わせしました。なんとなしに「おつかれさまです。どちらに配達ですか?」と声をかけてみたところ、先ほどの女性の部屋に油そばを届けるとのことでした……。

コッテリしたものやガッツリしたものは、男性だけが好むものと思い込んでいましたが……配達員を始めてから、女性のことがますますわからなくなりました。

『アラフォーUber Eats配達員 激走日記』は、次回12/4(金)更新予定です。お楽しみに!!