仕事が中途半端にあるタイミングが一番シンドい

アルコ&ピースの平子祐希さん(42)は、最近メディアでの露出を着実に増やしている売れっ子芸人だ。コンビでMCを務める『勇者ああああ~ゲーム知識ゼロでもなんとなく見られるゲーム番組~』(テレビ東京系)は深夜帯からプライム帯へ進出。ラジオも現在コンビでパーソナリティを務める『D.C.GARAGE』(TBSラジオ)が無双状態。「ラジオスター」として熱狂的なファンを獲得している。

トップランナーに「人生の土壇場」を聞く。平子さんに「これまでの人生のなかで土壇場はいつですか?」と聞くと、こんな自嘲気味の答えが返ってきた。

▲テレビでの安定感あるMCが光る、ラジオでも熱狂的リスナーを獲得する平子さん

「いまだに土壇場しかないですね。それどころか踏ん張りきれずに、崖から落ちてばかりです」

平子さんは「芸人引退」を本気で考えた経験を持つ。それも一度や二度ではない。しかも芸人としての仕事が入っていたタイミングで。仕事がゼロでバイトをしながら夢を追う芸人も珍しくないなかで、何がそこまで彼を追い詰めたのだろうか。

「芸人にとって、仕事が中途半端にあるタイミングが一番シンドいんですよね。オーディションが急に入ると、バイトを当日に休まないといけない。そんなことが続いてバイト先をクビになってしまうんです。それでも稼がないといけないから、新しいバイトをやる。そこは高校生だらけで、その中に30代の売れない芸人が1人。そして、また一から研修を受ける。そんな感じでした。しかも、クビになってまで参加した肝心のオーディションも、芳しい結果は得られなかったんです」

「夢を叶えるための下積み」などと、きれいごとばかり言っていられない。すでに結婚していた平子さんは“男の責任”を果たすべく、引退を決めた。しかし、そのときの気持ちは意外にも清々しかったという。

「だって、後ろ髪を引かれることなく、芸人を辞められるほどの女性と出会ったんですから」