みなさん。初めまして、こんちくわ! この度、ここで連載させて頂く事になりました、風野又二朗と申します。私の事、知らない人がほとんどだと思いますので、自己紹介させてください。
私は普段、アメリカのロサンゼルスで、映像のdirector/producerとして働いています。昨年、ひょんな事から、日本のラジオ番組のパーソナリティをさせて頂ける事になり、そのご縁で日本の事務所に所属して、なんと今こうして、ここで文章を書かせて頂ける事になりました。光栄です。感無量です。
ただ、来日と同時に日本での映像のプロジェクトがいくつか進行してしまっていて、
今まさに“猫の手も借りたい”状況なんですが、コラムを書くのが小さい頃からの夢でしたから、キーボードの上で指が、そして心が今、踊っています。
このコラムは、L.A.と東京を行き来する風野又二朗が、今一度日本にある当たり前のモノ、デキゴト、そこに流れる風を見つけて、掘り起こし、論じて、感謝したり、感動したり、へーえ! と膝を打ちながら、皆さんと楽しんでいけるコラムにできたらなと思っています。
さて2月ですねぇ、2月と言えばバレンタイン。日本では、女性から男性にチョコレートを渡すという文化で広く根付いていますよね。風野も日本の小学生だった頃、経験しました。1月の終わりくらいから、だんだんソワソワしてくるんですよ。で、1週間前から、お風呂でいつもより丁寧に体を洗っていたのを思い出します。意味ないのに。女子も教室の隅でヒソヒソ話していましたよね。
日本の男子はまず、この歳で“選ばれる”という体験をします。もちろん、その後の人生において選ばれる事は大切な経験ではあるよ、あるけどさぁ、これキツイよ! キツかった! ね? そうですよね? 分かるわぁ。いや、女子も大変だと思う。買わなきゃだし、渡すのもドキドキするでしょう。でもね、選べる立場なんですよ。我々は選べない。
2月14日の朝はお腹痛かったですよ。登校して、昼ぐらいかな、もう既にこっそり貰ってる奴の顔、あの冷静に喜んでる奴の顔忘れないよね。受験に早々と受かった奴の顔ですわ。下校の時間さ、親友と歩いて帰ってるんだけど、会話無いんですよ。お互い聞けない訳です、怖いから。どっちかが貰っていたら、もう終わりやん。もう、そこ友情にヒビ、入りかねんやん。だからね、興味のない、どうでもいい話して、家まで帰りました。あれはまさに、風と共に去りぬ、でした。
中学、高校は男子校だったんで、バレンタインの恐怖はなくなりました。むしろ、この6年間でバレンタインなんてすっかり忘れて、異性を意識しない、モテなくてもいい、ぬるま湯な生活を送りすぎてしまったんですけど。これね、ダメな政治家と一緒でね、結局は問題の先送りだったんですよ。
大学。風野は芸術学部のある大学に行ってたんですけど、そりゃあ異性がいてね、ビビりましたよ。あっ、まただ、そうだ選ばれるんだって。ここでのキャンパスライフは、また追々書いていきますが、風野はバレンタインを前に、大学を中退、親に土下座、アメリカに渡ります。
そこでまず最初の衝撃ですよ。カリフォルニアの風やばいなって、強風だなって思ったんですけど。向こうのバレンタイン、逆なんですよ。女性から男性にではなく、男性から女性へ、なんですよね。Why? ←これ風野が初めて使った英語なんですけど。
本場はそんな事になっとんのかい! ってね。しかも、アメリカはチョコあげないんですよ。花とかメッセージカードとか、です。いや誰よ、この文化逆にして、さらにチョコを混ぜてきた人。たぶん、グリコか明治か森永の偉い人やろなぁ。
いや、もしかしたら、敏腕営業マンかもしれませんよね。クッキーやポテトチップス部門にいつも負けていた、チョコ部門の営業マンが、会議に会議を重ねて、これだ! と机を叩いて立ち上がり、社長室に駆け込み、“チョコっと僕の話を聞いてくれませんか!”と言ったんでしょう。そういう事にしておきましょう。
ここでね、映像作家らしく、オススメの映画を1本。『ブルーバレンタイン』恋の始まりと終わりをこんなにリアルに、シームレスに描かれた作品を僕は見た事ありません。傑作です。ライアン・ゴズリングのベストアクトです。ぜひ見てみてください。まだまだ書きたい事がたくさんあるけど、今回はここでお暇します。
風野又二朗でした。また風が吹く日に。