選手や監督の仕事ぶりを熱心にチェックしているプロ野球ファンでも、球団職員がどんな仕事をしているかまで知っている人は多くないのではないだろうか。元・プロ野球選手で現・埼玉西武ライオンズ球団職員の髙木大成が、知られざる球団職員の世界について語る。

ケガに苦しみ現役引退。意外な選択肢を提示される

まずは簡単に、私が球団職員になった経緯をお伝えいたします。私がプロ野球選手を引退したのは、2005年秋でした。プロ入りしたのは、そのちょうど10年前。1995年秋に行われたドラフトで西武ライオンズを逆指名しました。

2年目からレギュラーになり、2年連続ゴールデングラブ賞獲得、3年連続オールスター戦出場と、そこまでは「ドライチ」の期待に応えることができていたと思います。ところが、その後はケガに苦しんだこともあり、32歳での引退となってしまいました。

その時、球団から「現場かフロントか」を選ばせていただけたんです。コーチ、スカウト、スコアラーなど現場の仕事か、営業や広報などのフロントの仕事か、どちらでも希望をきいて、球団で働かせてくれるという意味です。

これまでずっと野球をやってきたので、ユニフォームを着続けられる指導者になることにも当然魅力を感じました。しかしそれ以上に、これまでの生活とはまったく違う、サラリーマンになるチャンスという点が魅力的に思えたのです。そして、32歳は「スーツを着て仕事をする」ギリギリのタイミングではないかとも、直感的に思いました。トライさせてもらえるのなら、ぜひやってみたい……少しだけ迷ってから決断しました。

▲現役時代の筆者 ©SEIBU Lions