高木大成が球団職員になることを決めた背景には、2004年の「球団削減危機」があった。時が過ぎ、プロ野球を取り巻く状況はどのように変化したのか。

「球団単体での収益最大化」へと発想を大転換

▲満員のメットライフドーム三塁側スタンド ©SEIBU Lions

パ・リーグの観客動員数が飛躍的に伸びたのが、この15年間の最大の変化ではないでしょうか。実数発表になった2005年のパ6球団の入場者数合計は約825万人。それが2019年には約1167万人へと41%増です。西武ライオンズも110万人から182万人へと65%以上アップしました。

クライマックスシリーズやセ・パ交流戦といった施策が観客動員に影響しているのも事実ですが、それ以上に大きかったのは、「球団が消滅するかもしれない」という危機感を各球団が共有し、球団の経営方針を変えたことにあったと思います。

球団単体で事業として利益を出せるように、収益の最大化のための企業努力を重ねた15年間でした。

ライオンズの場合も、その変化は顕著でした。

たとえば年間指定席(シーズンシート)。シーズンシートは、熱心なファンが購入することももちろんありますが、法人や個人事業主が接待や福利厚生のために購入するケースが多い座席です。

当初ライオンズは、年席の販売を西武グループの別の企業に委託していました。単純にそういう部署も人員もなかったためです。

しかし、球団が独自で法人営業部隊を持ち、年席を販売するようになってから、状況が大きく変わります。

これからは球団が単体で収支の責任を負わなければいけない――そのために、どうすればもっと売れるかを主体的に考え、さまざまな施策を練るようになりました。