健康増進法の改正に先駆け、2012年のグランドオープンより「全席禁煙」を実施。〝パチンコ=タバコ〟というイメージを覆し、連日、多くのお客さんでにぎわっているのが『マルハンなんば新館』(大阪府大阪市中央区難波3-1-34)です。
前回は「全席禁煙」に踏み込んだ経緯、コストカットや人材確保など意外な副産物についてお届けしましたが、2回目となる石橋店長へのインタビューでは、マルハンのチャレンジスピリッツについて、さらに踏み込んで聞いてきました!

離れた地域からも「綺麗な空気」を求めてお客様が来てくださる

――「全席禁煙」はタバコを吸わない人にとっては嬉しい限りですが、タバコを吸う人は不自由に感じているかもしれません。愛煙家の方への配慮についてもお聞かせください。

石橋店長 『マルハンなんば新館』は、オープンの時から喫煙ルームに関してもかなり充実させています。現在では1階に3箇所、2階には電子タバコ専用の喫煙ルームを含む2箇所、合計5箇所の喫煙ルームを用意しています。しかも、ぎゅうぎゅう詰めの狭い場所ではなく、余裕を持ったスペースとなっています。

さらに、昨年から今年の春にかけて順次、喫煙所の改装を行っていて、タバコを吸われる方への配慮もより充実させています。新館は従来から「全席禁煙」ですが、タバコを吸うお客様も実はたくさんいらっしゃる一方で、「タバコを吸うけれど、煙だらけのホールは嫌い」という方や、「ニオイがつくのは嫌だ」という方も一定数いらっしゃるのです。そんなお客様のニーズに応えるべく、これだけの喫煙ルームを用意しているお店というのも、おそらく現時点では『マルハンなんば新館』以外にはないと思います。

2Fにあるオシャレな雰囲気の喫煙ルーム

――ただ4月からはほかのホールも「分煙」をスタートさせます。そうなると、これまでの『マルハンなんば新館』のアドバンテージが失われませんか?

石橋店長 たしかに4月からは全国のホールで分煙が実施されるのですが、「ホールの規模に比べて狭い喫煙ルームが1箇所しかない」というケースも出てくるのではないでしょうか。遠くまでタバコを吸いに行って、混雑しているからすぐに戻って、またタバコを吸いに行って……と、お客様の貴重なご遊戯の時間を削ることになってしまうかもしれません。

『マルハンなんば新館』について言えば、オープン当初からタバコを吸う方にも十分配慮をしていて、喫煙ルームもしっかり改装や清掃を行ってきました。4月以後は他店も同じように分煙になりますが、「だったらなんば新館でなくてもいいや」ということではなく、遊技台から20歩くらいのところに広々と居心地のいい喫煙ルームがある『マルハンなんば新館』を選んでいただきということを次の目標にしていきます。そのためにも、4月からも継続して「きれいな空間」に取り組んでいきたいと思っています。

――「電子タバコ専用喫煙室」についてもほかのホールで見かけたことはありません。

石橋店長 「電子タバコ専用喫煙室」というのは独自のアイディアかもしれません。千日前エリアには公道にアイコスルーム的なものもいくつか設置されています。そんな時代も来ておりましたので、当時の上司や部長と相談をして、「1箇所、チャレンジしてみよう」という話になりました。設置にあたり、すべて壁紙を替えてきれいにして、ニオイのない状態に戻してから始めました。もちろん今も「喫煙室」「電子タバコ専用喫煙室」の香りにもかなり気をつかっています。

――私も先程のぞいてきましたが、ほとんどタバコの匂いを感じませんでした。

石橋店長 それによって生まれた想定外の現象がありまして、「喫煙室」の空気と居心地がいいので、タバコは全然吸わないのだけれど、そこで休憩したいというお客様がけっこういらっしゃるんです。一休みしている女性の方や、お弁当を食べている方もいらっしゃるくらいで(笑)。それは「綺麗な空気」という評価でもあると思います。

ですから、「喫煙所でも禁煙休憩所のどっちでもいいよ」という方の休憩部屋としても、利用していただけているのかなというのはすごく感じます。もちろん喫煙ルームも閉店後の清掃は徹底しています。私たちは朝一にも必ず室内の確認をしています。たださすがに壁紙にはニオイがつきますので、順次張り替えを行ったりはしています。空気清浄機の設置ももちろんそうですし、喫煙ルームからニオイが漏れることのないように、空調や排気口の部分も定期的にチェックしています。

――今回のテーマである「全席禁煙」にあたり、女性のお客様の反応はいかがでしょうか?」

石橋店長 他店との比較データなどはないのですが、私が今まで見てきた他店舗と比べて、イメージですがやはり女性のお客様の割合が多いというのは肌で感じていますね。中でも年配の女性のお客様が多いように思います。それはやはり健康に気を遣われるのは年配の方が多いからかなと感じています。

それでも全体比ではまだ女性のお客様は20%少々というくらいでしょうか。ただ(少し離れた)堺市の方で、なんば新館まで来て頂いている女性のお客様を知っています。なんば新館がお好きなのは、やはり「綺麗な空気」ということでした。足下(近隣)ばかりでなく、近鉄や南海などもあって交通の便が良いところですので、「パチンコは好きだけれどもタバコは苦手」という女性のお客様が、なんば新館を選んでいただいているというのは、私が知っている以上に多いのかなと感じます。

禁煙ルームもゆったりとした作りで休憩できる

――「空気」以外にお客様のために取り組んでいることはありますか?

石橋店長 お客様へのサービスをどこまでできるかということにも取り組んでいます。2020年3月までにスロットコーナーのメダルもすべて各台計数となります。そこに向けて新しいサービスをいろいろ考えたりしています。

あとは、ロッカーの充実にも取り組むなど、お客様の遊戯しやすい環境づくりを第一に進めています。あとはインバウンド(訪日外国人旅行)の部分ですかね。郊外のお店とは違って、なんばの場合は非常に海外からの観光客も多い地域です。

すぐに集客的な結果が出るわけでもないので、費用対効果という部分ではわかりづらいところもあるのですが、外国のユーチューバーの方に「パチンコをやってみた」のような動画を撮っていただいたこともありますし、英語のパンフレットを用意したり、簡易翻訳機をお店に置いたりしています。あと、英語がしゃべれるバイリンガルのスタッフもいますので、外国の方々への対応も行っています。

――たしかに今の時代、インバウンドへの取り組みは絶対に欠かせません。

石橋店長 あとは本社側の主導ですが、観光客のオプショナルツアーとして「パチンコツアー」という催しもやっています。パチンコをやってみたいという方を受け入れて、添乗員さんにガイドをしてもらいました。中国や韓国をはじめとしたアジア系のお客様は確実に増えているようです。取り組みの効果がどれほどのものなのかはまだわかりませんが、日本でこれだけ愛されているパチンコですので、アニメなどとあわせて、「こうやって楽しむものんです」というのを少しでも伝えたいというところで、新館は他の店よりも厚く取り組んでいます。