自然のなかで「キタナイ」ことをする
今、欧米では自然回帰の生き方が見直されています。
「キレイ社会」で生きることが、自らを病気になりやすい心身にしてしまうと、多くの人が気づいています。細菌やウイルスは私たちを病気にすることもありますが、私たちの健康に貢献してくれてもいるのです。
その証拠に、アメリカでは『Eat Dirt』(ジョシュ・アックス:著)や『Let Them Eat Dirt』(ブレット・フィンレー&マリー=クレア・アリエッタ:著)など「土を食べる」と銘打つ書籍がベストセラーになっています。前著は『すべての不調をなくしたければ除菌はやめなさい』(藤田紘一郎:監訳/文響社)、後著は『「きたない子育て」はいいことだらけ!』(熊谷玲美:訳/プレジデント社)というタイトルで日本でも出版されています。
また『あなたの体は9割が細菌微生物の生態系が崩れはじめた』(アランナ・コリン:著+矢野真千子:訳/河出書房新社)、『失われてゆく、我々の内なる細菌』(マーティン・J・ブレイザー:著+山本太郎:訳/みすず書房)なども、キレイ社会の弊害を訴えてアメリカではベストセラーになった本です。
今、欧米ではこうした本が次々に出版され、たくさんの人たちに読まれています。しかし、日本ではあまり興味を持たれません。
私がもっとも危惧するのは、コロナ禍が去ったあと、手洗いや消毒に熱心になっている日本人の自然免疫力が、どのくらい低下しているだろうか、ということです。
だからこそ気がついた人から、自然免疫を高めるために、自然のなかで「キタナイ」ことをたくさんしてほしいのです。土をいじり、動物や昆虫に触れ、泥んこ遊びをする。山に登り、海で泳ぎ、川で魚を釣る。これだけで、私たちは自然免疫を高めていけます。
でも、細菌を怖がっていては、外に出ていくこともためらわれるでしょう。
まずは「細菌やウイルスは悪いものだ」「風邪を引くのが怖い」という思い込みを捨てることです。さまざまな雑菌とふれあう機会を増やすことは、自然免疫力を高め、アレルギーを予防し、新型コロナの重症化を防ぐためにも欠かせないことなのです。