好きなものを作ってテレビに出られたらラッキー

――天竺鼠さんって、どうやってネタを作ってるんだろうと。特に漫才をどうやって作ってるんだろうと不安……あっ、不思議に思ってました、でした。すみません、3回同じコントをやった話を聞いて、感じた思いを口に出してしまいました。

瀬下 ふはは! わかりますよ、僕はその気持ち。僕も最初はひもとこうとしてたんですけど、初期段階でわからんものはわからんでいいんかなって。例えばお寿司のコントなんて、僕はどこにおってどこで行なわれてることなんか、未だにわかってないんですよ。(自分が演じてるのは)小学生だってことはわかりますけど、どの場所で起きてるなんなのかはわからない。カオスです(笑)。

川原 お寿司のネタ、僕は凄くベタでわかりやすいと思ってるんですけどねぇ。まぁ、それぞれの捉え方があるから絵画を観ている感じで楽しんで、今まで使ったことがない奥にあるそれぞれの脳みそを使って頂けたらなと。じゃないと、お金とか時間がもったいないから。

瀬下 ははは! お金出してくれてるもんね、たしかに。

川原 そうそう。美術館とか、ぱっと回って帰る人いるけど、もったいないじゃないですか。僕は1枚の絵を1時間かけて観るのが好きで……。(自分たちの作るものは)ぐちゃっとした絵ですど、頑張って脳みそ使って元を取ってほしいです。

――若手のころから切り口や見せ方が斬新なネタをするなかで、観ている人に受け入れられるかどうかみたいなところで、苦労されたこともあったんじゃないかと思うのですが。

川原 今も受け入れられてないですよ。ネタ番組に呼ばれたとき、担当の人からどのネタしたいですかって聞かれて3~4つ挙げるんですけど、テレビではできないですねって言われますから。

瀬下 よう聞くわ、それ言われてるの。

川原 僕のなかでは普通なんですけど、例えばヨガの格好してる人が、奇声上げながらヨガマットで4分間しばき合ってるネタとか。なんでケンカしてるかは最後までわからなくて、途中、ヨガマット取られたひとりがどこかへ行ったとき、もうひとりは瞑想して。

瀬下 ヨガのポーズ、しっかり取ってな?

川原 そう。けど、テレビとしてはそれを4分間続けられると怖い……。なんでケンカしてるのかっていう理由とかオチを求められるんですけど、僕はいらないと思っているので、ないんです。そこに向けてネタを作ってないので。

――そう断言するようなきっかけが、何かあったんですか?

川原 最初から自分が面白ければいいやって好き勝手に(ネタを)作ってたんですけど『キングオブコント』の決勝に1~2回行って。そのとき、あぁ、こんな感じのネタを作ったら決勝行けるんやと思ったので、それに向けて作ったんです。たしかにウケるんですけど、自分のなかで全然面白くなかったので、好きなものを作って、たまたま賞レースの決勝とかテレビに出られるならラッキーくらいの気持ちでいようと思うようになったんです。


天竺鼠さんへのインタビュー記事は、1月12日発売の『+act. (プラスアクト) 2021年2月号』に全文掲載されています。

<公演中止のお知らせ>
〇ルミネtheよしもと
1月29日(金)19時30分開演 天竺鼠単独「高級ジャンピングボレーライブ」は、公演が中止となりました。詳細は、チケットよしもとHPにてご確認ください。

【チケットよしもと お知らせページ】
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