誰もが不安を抱えていた2020年においても、懸命に自分たちを磨き上げることでまた夢へと一歩近づいたアメフラっシ。なかでもストイックなまでに己に課題を課しているのが鈴木萌花だ。これまでは“可愛い担当”のイメージが強かった彼女だが、実は向上心の塊でもある。今回は舞台裏で流した、その涙から彼女の現在地に迫ってみよう。

STAYHOME期間中にあらためて基礎を学んだ鈴木萌花

▲いつも安定感のある歌とダンスを魅せてくれるが常に満足はしていない

今回のインタビューシリーズは、2020年12月中旬に収録している。もっと具体的に言えば、1stフォトブック『With』の発売から、年末の『アメフラっシ大感謝祭2020』のあいだの期間である。

このタイミングが今となっては絶妙だった。小島はなは凜とした表情で語り、市川優月は瞳の奥にギラッと光るものを感じた。激動の2020年を乗り越えてきた自信がそこにはあったし、まだ年末にライブを控えているのでピリッとした緊張感もキープしていた。まさに「2020年のアメフラっシ」を総括し「2021年のアメフラっシ」の夢を語ってもらうには、これ以上ないタイミングだった。

次週、登場する愛来は休業明けということで、やはりジリジリとした感情をぶつけてきてくれたのだが、唯一、鈴木萌花は落ち着いているというか、ものすごく冷静にこの1年間を振り返ってくれたのが、逆に印象的だった。

「2020年は、やっぱり4月からファンのみなさんの前に出ての活動が止まっちゃったじゃないですか? もちろん、あのときは焦りましたけど、こうやって1年を振り返ってみると、4月から6月までのSTAYHOME期間は、私たちにとってプラスになっているなって思うんですよね。

グループとしても、メンバー個人の活動でも、2020年は早い段階からありがたいことに順調に進んでこれたなって思うんですけど、もし、あのSTAYHOME期間に一度、立ち止まることがなかったら、今のアメフラっシはなかったんじゃないって。勢いだけでどんどんいっちゃって、どこかでダメになっていたんじゃないかなって……」

この連載がスタートしたのが2020年2月のこと。3月には個々のソロ仕事が活発化し、4月からは定期ライブの開催も決まっていた。これまでは「点」で終わってしまうことが多かったアメフラっシの活動が、ようやく「線」になってきた。

メンバーも先々の予定を早めに聞かされていたので、今やっていることが、どこにつながってくるかを理解しながら活動できた。文字通り、充実した日々がそこにはあった。そんなタイミングで襲ってきたコロナショック。すべてのライブは中止となり、未来がまったく見えなくなってしまったが、鈴木萌花はそこで「あるもの」を見つけていた。

「コロナ禍でみんなが集まることができなくなったけど、もう新曲『メタモルフォーズ』の振り入れも終わっていたので、いつか行なわれるライブのために、家にいながらボイトレとかダンスのレッスンをリモートでやってきたんですよ。あんな状況にならなかったら、家であんなにレッスンができるなんて、ずっと気づかなかったと思うし、あの期間にしっかりと基礎のことを学べたと思うし、それをしっかりと吸収できたなって。

さっきも言いましたけど、勢いだけでいっちゃってたらダメになっていたかもしれないけれど、あそこで一度、立ち止まって、あらためて基礎を学ぶことができたことが、夏以降の活動につながってきたと思うし、ライブができるようになってからは、ライブ本番で経験できたことが経験値にもなっていったので。もちろん、活動が止まってしまったことで、2020年の目標だったメジャーデビューは実現しなかったんですけど、学ぶことが多い1年でした」 

▲自宅でも自分たちを磨き上げることでパフォーマンス力も飛躍的に向上した