誰もが不安を抱えていた2020年においても、懸命に努力を積み重ねることで夢へと一歩近づいたアメフラっシ。そのなかで、ひときわ大きな声でメンバーを鼓舞しているのが市川優月だ。どんな現場でも笑い声を絶やさない元気印だが、実は誰よりも気配りの人であり、メンバー想い。照れ屋でもある彼女の胸の内に今週はとことん迫ってみたい。

『シンデレラ決定戦』で抽選の最後まで残った市川優月

今回の取材は12月中旬に行われたものです。この時点では、年明けに緊急事態宣言が再度、発令されるなどとは思っておらず、来たるべき1・16横浜アリーナでの『スタプラアイドルフェスティバル』について、市川優月の熱い言葉をたくさん聞きました。

しかし、ご承知のように『スタプラアイドルフェス』は延期となってしまいました。すでに今回の原稿は完成済みだったものの、これは全面的に書き直さなくてはいけない。そう思いつつも、2021年を迎えるタイミングで彼女がこんなことを考えていた、ということはそのままお伝えしたい……とも感じました。なぜならば、それはすべて2・28のZepp Hanedaへとつながっていくものだから、です。

ということで、イベント自体は延期になってしまいましたが、あえて、市川優月が横浜アリーナに向けて抱いていた思いを、ここにお届けします。

▲舞台上で見せてくれる表情や表現力がより一層豊かになった市川優月

1月16日に横浜アリーナで開催予定だった『スタプラアイドルフェスティバル〜今宵、2人目のシンデレラが決まる』。ニッポン放送の人気番組『ミューコミプラス』から生まれたこのイベントの目玉は、スターダストプラネットの若手グループ全8組の中から、たった1人だけを選ぶ『シンデレラ決定戦』だ。

ももいろクローバーZ、私立恵比寿中学、TEAM SHACHI、たこやきレインボーの楽曲をメドレーで歌い、そのパフォーマンスを見た観客が「この子がシンデレラだ!」と思ったメンバーに投票。最大得票を得たアイドルが「シンデレラ」の称号を得られる、というシステムである。

「1人1票」という超公正な仕組みになっており、まさにその日のパフォーマンスが運命を分ける。誰がシンデレラになってもおかしくない予測不能のガチバトルなのだ。

こうなってくると重要なのは「メドレーでどのパートを歌うのか?」という部分。印象に残るパートを担当できれば、それだけ票につながってくるから可能性が高いからである(もちろん、しっかりと歌いきることができる、というのが大前提となるが……)。

その抽選は、すでにももいろクローバーZ・高城れに、私立恵比寿中学・星名美怜の立ち合いのもと行なわれている。アメフラっシは、鈴木萌花がたこやきレインボーの『もっともっともっと話そうよ』を歌う以外は、なんと3人がももクロの『ココ☆ナツ』を歌う、という抽選のイタズラ。しかも歌い出しが愛来で、その次のパートが小島はなという奇跡的な流れも生まれた(ちなみにくじを引いたのは高城れに。彼女は毎年、ミラクルな運命を演出してくれる)。

そんななか、アメフラっシで最後に残ったのは市川優月。ラストに近いパートも残っていたが、じつはそれこそが『ココ☆ナツ』の落とし穴。ご存じかと思うが、この楽曲には「ココココココココ〜」と「コ」しか言わないパートがかなり多い。そのパートを引き当ててしまうと、せっかくの横浜アリーナの晴れ舞台で「コ」だけ連呼して終わってしまう(逆にそこでインパクトを残してシンデレラになってしまったら、それはそれで伝説になるが)。

▲いまの市川優月には、どんなシチュエーションでも魅了してくれる実力がある