皆さんは、同じ配達員から荷物を受け取った経験がありますか? コロナ禍のなか、東京では朝から晩まで、繁華街のあちこちを大きなリュックを背負ったウーバーイーツの配達員が走っています。

ですが、22時を過ぎると配達員の数は徐々に減り始め、23時を回る頃には新宿や六本木など、深夜まで営業している店が多いエリア以外の場所では、自転車配達員の姿を見かけることがありません。

そんなわけで、昼間だったら発生するはずがない同一配達員と注文者との邂逅(かいこう)が、時として起こってしまうわけです。しかし、自宅でリラックスモードの女性注文者と配達員との間に恋愛が発生……するわけもありません。そこにあるのは、ただただ気まずさばかり……。今回はそんなドラマをお伝えします。

▲深夜になると自転車配達員の姿は消える… イメージ:PIXTA 

10歳以上年下にパシられる40代

先日、都心部を自転車で走りながら依頼を待っていたところ、22時過ぎにローソンからの配達依頼が入りました。狙い通りに依頼が来たことに、ニンマリしつつお店へ向かうと、渡されたのは缶チューハイ3本とちょっとしたおつまみ。

1キロ先にあった配達先のマンションに到着しインターホンを押すと、出てきたのは私より若い30代と思われる男性です。スウェット姿の男性は、商品を渡すと「どうも」と言ってコンビニ袋を受け取りました。

その後、牛丼屋やマクドナルドなど、緊急事態宣言中の深夜でもテイクアウト対応をしている店からの配達をこなしていると、再びローソンからの依頼です。お店に到着して商品を受け取ると今度は缶チューハイ2本のみ。

「わざわざウーバーイーツを使って注文するのだから、もっとたくさん商品を頼んだらいいのに」なんて思いながら配達先を確認してみると、先ほどの男性宅が指示されていました。

違う配達員が運んでくると思っていたであろう男性は「すいませんね、2回も」と言いながら、恥ずかしそうにコンビニ袋を受け取りました。

40代の男が、30代の男性宅に缶チューハイやおつまみを届けるなんて。学生時代に売店のパンを買ってこい、とパシらられた経験はありますが、この歳になって10歳以上年下の方に缶チューハイを、しかも何回も買いにパシらせれるとは……。

▲若い男性に缶チューハイやおつまみを届けました イメージ:PIXTA

帰り道、学生時代の嫌な記憶を思い出しながら自転車をこいでいると、今度はファミリーマートからの依頼がピコーン。お店で商品を受け取ると、今度はストロング系の缶チューハイ3本。で、届け先を見ると………………先ほどの男性宅でした。

完全に仕上がっていますね。もうパシられているという気持ちではなく、興味津々で届けに上がります。

この頃には、当人もいい気分だったのでしょう。すでにアプリ上で私が配達員と把握していたためか、酔っぱらって真っ赤になった顔で話しかけてきました。「ごめんごめん、店を変えたら別の人が届けると思ったんだけど……」。

さすがに自分より年上の人間に、真冬の寒空の下、何度も何度も缶チューハイを配達させていることに恐縮したのでしょうか、配達後、しばらくしてからアプリを確認すると、その男性から500円ほどのチップが届いていました。