それぞれの家庭のドラマを夢想して

思わず心配になってしまうこともありました。

2回目の緊急事態が発令される前の去年の12月頃、21時過ぎに配達したのはスパゲティーの乾麺とドリンク。

配達先はカップルや夫婦が住むような、間取りの広そうなマンション。「置き配」の指定だったので、袋をドアの前に置くと、換気扇からトマトソースの香りが。「麺を買い忘れたので、ウーバーイーツで注文したんだな」なんて思いながら次の配達に向かいました。

▲それぞれの家庭のドラマを夢想して イメージ:PIXTA

それから2時間後。イタリアンレストランに商品を受け取りに行くと、大盛りのカルボナーラを1つ渡され、そして配達先を見ると、先ほどのお宅の住所が……。

指定された通りにドアの前に商品を置き、配達を終えたのですが、この2時間の間に一体何があったのでしょうか? すでに換気扇も止まっていてトマトソースの香りがしない部屋の前の廊下を歩きながら、いろんな光景が頭の中をよぎりました。

奥さんが作ったトマトソースのパスタに対して「パスタは食べたいけど、トマトソースの気分じゃない」とひどい言葉をかけるご主人の姿。トマトソースをうっかり焦がしてしまった、おっちょこちょいな奥さんの姿。仕上げに入れた唐辛子の量が多すぎて、誰にも手をつけられずに残ったトマトソース……。

「置き配」なので、誰が住んでいるのかもわかりませんが、この日は眠りにつくまで、あの家で何が起こったのかの妄想が止まりませんでした。

市原悦子さん主演の名作『家政婦は見た!』ではありませんが、同じお宅への配達は、いろんなものが垣間見えてしまってドキドキするものです。

『アラフォーUber Eats配達員 激走日記』は、2/5(金)更新予定です。お楽しみに!!