声のトーンで全てが変化する不思議

ワニ 対決ももう8回目です。少しは慣れてきましたか?

りか テーマを考えて選曲する基準が難しいですね。

ワニ そうですか? 毎回りかちゃんの味が出ていますよ!

りか 自分の中ではテーマごとに決めているつもりだけど、実際は全然違うイメージの曲なんじゃないかな? とか考えちゃうんですよ。

ワニ 視点を変えてみるのもありですよね。今はシチュエーションに特化しているから。

りか 確かに! 参考にします。では今回の対決いきますね! テーマは“聴いているだけで胸が苦しくなる曲”。大滝詠一さんの『恋するカレン』の白組から‼

 

ワニ これはザ・大滝詠一的な優しいメロディが印象的。

りか ずっと片想いしている切ない感じが凄くよく出ています。

ワニ でも個人的には歌詞のラスト一文が少し怖くて……。

りか 「そうさ哀しい女だね君は…」のところですよね。私もずっとそこの真意を考えているんです。

ワニ それまで片想いの淡い恋心を歌っていたはずのに、急にそんなこと言う?

りか 私の予想では、これは絶妙な三角関係なんです。カレンも片想いしている人がいて、そんなカレンに片想いをしている主人公。だから“ふられるまで”のところは、主人公ではなく、カレンのことを言っているんじゃないかと解釈できるんです。

ワニ 誰も成就してない恋愛というわけですか。

りか だから、カレンに対して“哀しい女=かわいそう”だといっているのかなぁなんて。

ワニ なるほどねぇ。

りか でもやっぱり、恋人がいるカレンのことを好きな主人公となると、最後の一文は皮肉にもとれるし……。ただこの2人、友人としての絆があるのは感じます。

ワニ また大滝詠一さんの声で歌われると、全てが許されてしまう感じがするのもズルい!

りか よくよく聴くとありえないくらいのせつなさも、あたかも良い思い出のように描かれていて。結局、カレンの優しさ、主人公の優しさ、どちらも感じてしまう温かい曲のようになっているのが不思議です。