筋トレを始めれば体内にさまざまな好循環が起こる

サラリーマンにありがちな体を動かさない日々を続けてきたことによって、体内にはさまざまな悪循環が起こっています。

「階段を上ると、すぐに息切れするようになった」「疲れやすい」「体が重く感じる」「睡眠が浅くなった」「今ひとつ食欲がない」といった自覚症状はその発露。

▲体を動かさない日々はさまざまな症状を引き起こす イメージ:Luce / PIXTA

さまざまな生活習慣病も忍び寄っています。

けれど、人間の体はもともと動くようにできています。

筋肉をつくり動かすためにはタンパクが必要です。

そのためのタンパク質を食べ物から摂り、その栄養を消化吸収、代謝することで筋肉を維持し働かせます。

そのためには肺で取り込んだ酸素を心臓循環系で体全体に送り、エネルギーを供給する必要がある。

筋肉が動くと胸をはじめ体に負担がかかるので、それに耐えるために骨や関節が形成され強くなっていきます。

また、筋肉を動かしているのは脳です。

脳みそから電気の刺激を運動神経を通して送り、筋肉を動かす。脳を働かせるには糖が必要ですから、それも食事によって摂る。脳にたっぷり糖が送られれば、生活に必要な知恵や発想が生まれ、適切な行動がとれるようになる。

そうした状態は自律神経を正常に働かせ、バランスがよくなり、睡眠が深くなり、その維持に必要な栄養を摂るため食欲も出る、という循環が起こります。

つまり体のなかでは臓器、骨、筋肉などはもとより細胞の一つひとつまで、すべてが連動し、作用し合っているわけです。

いわば、このサイクルを保つことが正常な状態であり、健康ということです。

60代に入れば、そろそろ“老い”を意識するようになります。

まだ先のこととは思いながらも、自分が要介護になることをイメージする人もいるのではないでしょうか。そして、転倒とか骨折の予防に関心が向く。

しかし、このサイクルが保たれていれば、転倒はしにくくなるし、骨折の心配も少なくなるのです。

また、筋肉と脳は相互に作用する関係にありますから、筋肉を動かせば脳由来神経栄養因子(BDNF)というタンパク質が生成され、脳の働きもよくなり認知症予防にもつながります。

さらに筋肉を使えば糖代謝が活発になり、糖尿病にもなりにくくなる。そうした好循環が体に起こるわけです。

▲体のサイクルを正常に保つことで衰えにくくなる イメージ:sakai / PIXTA