聴いてくださる人それぞれ『ナノ・ストーリー』がある

――そんなこだわりも見せつつ、次が『ココロインク』。

堀内 これも私自身の習慣がベースになっている曲で。悩みやモヤモヤしたものをためたままだと良くないから、それを書き出してみようって。

さくら学院のころ、本音で人とぶつかるのがすごく怖かったんですね。でも、そこからは逃げられないし……ってなったときに、自分の気持ちを整理してきちんと伝えようって思って、そんなときにノートに伝えたいことを書き出していたんです。そういう経験や、そのときの気持ちがこの曲になっていますね。

――なるほど。そういうお話を聞くと、さくら学院を卒業してまり菜ちゃんが詞を書き出したっていうのは、それまでの習慣から考えるとすごく自然なことだったのかもしれないですね。次が『Welcome to Nanoland』。

堀内 ナノ・ハナさんは、まだ悩みから解放されきってはいないんですけど、ずっと、もがいているのも辛いから、このあたりでいったん夢の国に行ってもらいます(笑)。もともと、リアルの世界でもテーマパークが大好きで、キラキラの世界観を曲で表現してみたいって常々思っていて、そういう意味では念願が叶った曲です。

――まり菜ちゃんのなかで、この”Nanoland”にはどんな風景が広がってますか?

堀内 星がいっぱい瞬いていて、雨上がりなのかな、地面が濡れていて星の光が反射していて。メリーゴーランドが照明で優しく照らされているような……。

――ここで「マイネームイズ“MARINA”」っていう歌詞が出てくるんだけど、ナノ・ハナはまり菜ちゃんになったんですね?

堀内 そうかもしれないです。憑依してるというか、夢の世界なので、私とナノ・ハナの関係性が少し曖昧になっていて。いつか、ライブをしたいなと思っているんです。そのときに、こんな世界で歌が歌えたらいいなと思って、それを“Nanoland”の世界で表現してみました。

――次の『Midnight Rail』も『Welcome to Nanoland』に負けず劣らずのアップテンポな曲で。曲頭に何かの音が入ってますね。

堀内 モノレールの音なんです。“Nanoland”で遊んでいたら物足りなくなって、モノレールに乗って地球の外に踏み出すくらい暴れてみようと。そしたら『ココロインク』で話していたようなモヤモヤも、どっかに行っちゃうんじゃないかなっていう……。

――勢いもすごくあるし、この2曲はきっとライブでもすごく盛り上がりますね。

堀内 実はアルバムの構想を練っていたときは、ここが最終地点で。いろいろ悩んで辛かったけど、いっぱい遊んで虹を渡り切ってハッピーな世界にたどり着いたっていう……。

でも、共作者の新津由衣さんに私が書いた歌詞を見ていただいていたら「この言葉の奥にある意味は何?」とか「ここでこう思ったきっかけは?」とか私の気持ちを深堀りしてくださって、最終目的地はここじゃなくて、自分が元からいた場所なんじゃないかっていう指摘があって。その思いが、次の『菜心歌』って曲に込められています。

――ということは、このアルバムを作り始めたときには出てなかった結論に辿り着いたと。

堀内 そうなんです。私はキラキラした世界に憧れて目標にしてきたけど、実はそうじゃない。私は私にしかなれない、それでいいんだって。

――少しずつ作っていったというだけあって、その過程も含めてすごくリアルですね。

堀内 このアルバムを作ることによって、自分でもすごく変われたというか、吹っ切れた部分があります。

ずっと水樹奈々さんに憧れていて、ああいう風になりたいって思っていたんですけど、“私は私でいいんだ”って思えるようになれて、そしたらすごく自由になったんです!

その気持ちがラストの『ユメ日記』。歌詞には、私がずっと大切にしてきたものや『ユメ日記』の前にある9曲と、インストゥルメンタル2曲に囲まれて、今すごく自由なんだよって、アルバムを作り終えての私の気持ちを言葉にしました。

――今、それぞれの曲に懸けた思いを聞かせてもらうことで、アルバム自体の印象もすごく変わった気がします。読者の方々もきっとそうなんじゃないかと思うのですが、まり菜ちゃんから最後にここまでインタビューを読んでくださった方々に向けて、メッセージをいただけますか。

堀内 聴いてくださる人それぞれの『ナノ・ストーリー』があると思っています。ほんのちょっとの部分でも共感してもらえる部分があったら嬉しいです。私自身、このアルバムを作ることで一回りも二回りも成長できたのかなって思っています。『ナノ・ストーリー』を聴いていただき、今のありのままの私に触れて、いろんなことを感じてもらえたらと思います。


プロフィール
堀内 まり菜(ほりうち・まりな)
1998年4月29日生まれ。東京都出身。身長155cm。血液型=B型。『ちゃおガール2007オーディション』入賞をきっかけに芸能界入り。’14年3月にさくら学院卒業後は声優・女優として様々なジャンルで活動。今年3月10日にデビューアルバム『ナノ・ストーリー』を発売、声優アーティストとして本格的に活動を開始。また声優の礒部花凜、熊田茜音、吉武千颯と共にコーラスユニット「ヒーラーガールズ」としても活動中。3月26日にはアルバム「Voices vol.1 ~アニソンコーラスカバーアルバム~」をリリースすることが決まっている。オフィシャルTwitter(@horimari_429)の他、公式YouTubeチャンネルも随時更新中。
 堀内まり菜デビューアルバム
『ナノ・ストーリー』 3月10日発売!
 
【収録曲】
1.ナノ・ハナ
2.ヴァイオリン幻想曲
3.ねぇ星よ
4.空っぽの私
5.ふう  *instrumental
6.優しい人
7.ココロインク
8.Welcome to Nanoland
9.Midnight Rail
10.わあ  *instrumental
11.菜心歌
12.ユメ日記
〇堀内まり菜 ”ナノ・ハナ” Music Video