自宅の浴室乾燥の機能を使って大量の干物を作成。その干物でバストを隠しつつ、憂いを帯びた表情で佇む1枚のカットがツイッターで話題に。瞬く間にその写真が拡散されて日本のみならず世界中で反響があり、唯一無二の“干物グラビア”というジャンルを生み出した吉野七宝実さん。釣りをガチで楽しみ、人生を謳歌しながら仕事に繋げていく彼女の素顔に直撃した。

干物グラビアは偶然の産物だった!

――吉野さんの活動は多岐にわたりますが、一躍注目されるきっかけとなった“干物グラビア”のお話から聞かせてください。あの写真は2019年3月にご自身のツイッターでアップされましたね。

あのときは、めちゃくちゃバズりました。もともとのフォロワーは35,000人くらいだったんですが、あの写真をきっかけに一気に70,000万人くらいになって。日本だけでなく、英語・中国語・韓国語・タイ語・ロシア語もあったかな。なんて書いてあるのかさっぱりわかりませんでしたけど(笑)。

中国はコンプライアンス的にあのようなグラビアが掲載できないみたいで、干物の部分にモザイクを入れられていて。余計にいやらしい感じになっていました。中国語は漢字だからなんとなくニュアンスがわかりましたが、“異臭女”“生臭女”とか書かれていて。タイ語での投稿もたくさんありました。

――あの干物グラビアが誕生したきっかけは?

あれは偶然の産物なんです。仲間と管理釣り場に川魚を釣りに行ったら、ものすごく釣れてしまって。そこのルールで釣れた魚はリリース禁止で、全て持って帰るか、持って帰らない場合は施設内のゴミ箱に捨ててください、というシステムで。せっかく釣れたのに捨てて帰るなんて考えはなく、仲間のぶんも全て私が持ち帰ったんです。

たぶん150匹くらいあったと思います。そのうち70匹くらいはどうにか知り合いに配ったんですけど、残りの80匹はどうしようとなって。干物にすれば多少は日持ちがするし、友だちにあげるときも常温でも持ち運べるから、ということで干物にすることにしたんです。それが自宅のお風呂場で、まずはお風呂場に干された大量の干物の写真がバズりました。

――グラビアアイドルの吉野さんのお風呂場が、干物だらけになっていることに驚いたんですね。

たぶんそうだと思います。SNSでバズったら何か宣伝をしてもいい、という流れがありますよね。だからそれに乗っかって何かを宣伝しようと思ったんですが、当時、所属していた事務所を辞める寸前だったこともあり、宣伝できることが何もなくて。それなら自分を宣伝しようと思って“これが私です!”という感じで、干物グラビアをやってみたんです。

――干物×グラビアって面白いんじゃない!? という戦略的なものではなかったとは驚きです。そもそも芸能活動をスタートするキッカケはなんだったのでしょうか。

スカウトしていただいて、この世界に入りました。ただ、もともとは芸能をやりたいという気持ちはなかったので、割のいいアルバイトができたらいいなくらいの感じで。当時は短大生でいずれは就職すると思ってましたし、学生の間だけ楽しいバイトができたらいいなくらいの気持ちでした。

そんな甘い考えでこの世界に入ってしまったんですが、芸能のお仕事ってオーディションに受からないとお仕事にならないんですよね。全然受からないので、大きな話題を作れるようなお仕事はできませんでした。

そんなこともあって、事務所は辞めて卒業後は一般企業に就職しました。でも、入ってすぐに違和感があって、自分に気質と合わないと言う理由で研修中に辞めてしまうという、どうしようもない“ゆとり世代”で。それをきっかけにもっと好きなことをやらないとダメだなと模索しながら、しばらくはフリーターをやっていました。

そのころ、以前に入っていた事務所に用事があり電話をかけたついでに雑談となり、その流れで「またオーディションを受けてみる?」という話になって。久しぶりに受けたアイドルのオーディションに受かり、芸能の仕事をすることになりました。

▲干物グラビアは偶然の産物だったと語る吉野さん