どんな経験も成長の糧とする鈴木萌花の強さと貪欲さ
昨年も愛来を欠いてのステージはあったが、そのときは全員がアタフタしていた。しかし、今回はそのときの経験を踏まえて、という部分もあるのだろうが、かなり落ち着いてパフォーマンスできていた。ある一部分を除いては。
「あぁ、やっちゃいましたね(苦笑)。歌詞が完全に飛んじゃいました」
そのステージで愛来のパートを担当した鈴木萌花は、肝心なところで歌詞を忘れてしまい、それに気づいたメンバーが思わず笑ってしまう、という一幕があったのだ。
「あの日は不安もなく、自信を持ってできたんですよ。それでお客さんを煽って、しっかり締めようと自分のポジションに戻った瞬間に忘れちゃったんです(笑)。なんにも歌わないより、なにか適当に歌ったほうがいいだろうと思って、まったく違う歌詞を歌ったんですけど、曲が終わったあと、ゆづが間違ったことを笑いに変えて、いい方向に持っていってくれたので助かりました。なにかギャグをやれ、と無茶ブリされたのは本当に困っちゃいましたけどね。改めて愛来は難しいことをやっているんだなって、身をもって実感しましたね。
MV(Music Video)の撮影のときも、どのシーンでも愛来はすごくできていて、そのときはちょっと悔しいな、とも思ったんですよ、私がうまくできていなかったから。でも、一日、MVを撮っていくなかで、すぐにいろんなことを愛来から吸収して、こうやっていこうって考えられるようになりました。そのあとも、いろんなアーティストさんのMVを見て研究をするようになりましたね」
MVという新しい表現の場がアメフラっシに加わったことで、間違いなく彼女たちの意識改革が始まっている。その鈴木萌花だが、じつはこの春に舞台への出演が決まっていた。昨年3月から短期間での連続オファーは、その演技が認められている証拠でもあるが、残念ながら緊急事態宣言を受けて、舞台は延期になってしまった。
「まだ本格的に稽古は始まっていなかったんですよ。役柄と衣装が決まっていたぐらいだったんですけど、やっぱり延期と聞いて、昨年のことを思い出しちゃいましたよね。また長引くのかな? 同じことの繰り返しになるのは嫌だな、って。
Zepp Hanedaも延期になっちゃって、悔しいというかもどかしい気持ちなんですけど、Zeppはすぐに3月21日という延期の日付も出たじゃないですか? 昨年は本当に先が見えない状況が長く続きましたけど、今回はちゃんと先が決まっているんですよ! その分、気持ちは楽だし、いいことだけじゃなく、つらいことや大変なこともないと前に進めないっていうじゃないですか? だから大変でもがんばります!」
不安に揺れながらも、しっかりと未来を見据えている鈴木萌花。彼女だけでなく、昨年の緊急事態宣言時にしっかりと研鑽を積み、解除後のライブでグレードアップした姿を披露できた経験が頭の中に残っているから、焦らず、じっくりと延期となった3週間を有意義に使おう、という意識が高まっているのだ。そんななか、小島はなが笑いながら、こんなことを教えてくれた。
「私、インスタで『Zeppまで、あと〇日』って毎日、アップしていたんですよ。別にやります、と宣言したわけではないけど、誰かが気づいてくれるかなって。でも、誰からも指摘されることはなくて、延期になったタイミングで辞めちゃいました、アハハハ!」
ここで笑い飛ばせる強さ! やはり小島はなは“イケメン”である。