自分しか出せないエッセンスを動画では出していきたい
――たとえば、スタン・ハンセンのものまねだったら、一番簡単なのは「ウィー!」と雄たけびをあげることじゃないですか。でも、神奈月さんの場合、ハンセンの独特な膝の運び方で表現するという。
神奈月 「ウィー!」は誰でもできるなと。大事なのは「ウィー!」じゃないところですね。あと2番手、3番手ぐらいのシーンでも、詳しい人ってやっぱり「あ、このシーンみんな知ってるよ」って冷めちゃうじゃないですか。
それを持ってくるよりも、さっき言ったみたいな「これは俺しか知らないな、このシーンはわかんないだろうな」とか「この動きを持ってきた方が興奮してくれるな」というのが僕もやりやすいというか。あまりにもオーソドックスなものばっかりだと、ちょっと自分自身もやっていて面白くないというか。
〇【スタン・ハンセン】カメラの前で起こった衝撃映像3連発!
――なるほど! あとプロレスのメドレーで、アブドーラ・ザ・ブッチャーのフォーク攻撃からテリー・ファンクへの流れに意表をつかれました。普通だったら、お兄さんのドリー・ファンクJr.からテリー、そしてジャイアント馬場さんみたいな、王道の流れをイメージするじゃないですか。
神奈月 そうですね、組み立ても意識してます。ブッチャーのフォークのように、この小道具を次どうすればいいのかとか。スーパー・ストロング・マシーン1号、2号、3号みたいな、ああいうくだらないものも挟みながら、緩急をつけているつもりです。
――そのほかに『カンチャンネル』で大切にしてることはありますか?
神奈月 どうですかね。今はまだやってる最中ですけど、やっぱり「神奈月にしかできないなっていうエッセンスは出していかないといけない」と思うんで。そこだけですかね。「誰も手をつけないようなことをやろう」というか。
――ハリウッドザコシショウの「サブリミナル」なんて誰も手をつけませんよね(笑)。
神奈月 なんであれをやろうとしたんだって話ですけど(笑)。
〇「【ハリウッドザコシショウ】サブリミナル効果の動画を再現してみた」
――失礼な質問かもしれないんですけど、再生回数よりも大事なものがあるということでしょうか。
神奈月 もちろん。再生回数、それは伸びたほうがいいですけど、自分自身が「この人をやってみよう」とか「この人をやったら楽しいな」とか「この人を表現できたら笑わせることができるかな」って思わないと、動画を出してもつまんないじゃないですか。演じていてもそうだし。そういうところのチョイスが何よりも大切というか。
――一方で、対比的に井上陽水さん、大友康平さんはガチ歌です。
神奈月 そうですね。あのシリーズは曲の部分が大きいんですけど、(動画を見てもらうために)ちっちゃい線路を引いとかないといけない。もちろん、いろんな人に見てほしいっていうのも正直ありますからね。そこ(ちっちゃい線路)から『カンチャンネル』という駅に入ってきて、昔話だったり、メドレーだったり、ほかの動画を見て「あ、神奈月って、こういうことをやるやつなんだ!」っていうのが総合的に伝わればいいですね。
コロナ前って、ものまね番組やバラエティーでしか見る機会がなかったと思うんですけど、動画が入り口になって、僕のことを知らない人が見てくれて評価してくれれば。
――結果、馳さんでの「元気出せよ!」じゃないですけど、単純に動画を見て、大笑いしてて元気をもらってる人も多いと思います。
神奈月 ありがとうございます。実際、そういうふうに言われたこともあったんです。自分がテレビでやったものまねを見たときに「ちょっと個人的なことで落ち込んでたけど、神奈月さんのものまねを見て、すごい元気になって大好きになって、助けられました」と言ってもらえて。そういう意見を聞けるって嬉しいですよね、やっぱり。そんな大層なことを言われても、とは思うんですけど、でもそれで元気になってもらえれば。
――ちなみに、ワニブックスの「NewsCrunch」の見てくれる人は、30代後半から40代後半の男性層が多いんです。
神奈月 ああ、いいですね。それはピッタリです、30代後半から40代後半の男性(笑)。これからも、そういう世代に楽しんでもらえるような動画を作っていきたいなと思うので、ぜひ『神奈月のカンチャンネル』のチャンネル登録お願いします! あと、最後にひとこと「おい、元気出せよ!」。
〇ものまね芸人・神奈月さんに直撃!【Crunch-special-intervieW-前編】
〇神奈月のカンチャンネル[YouTube]