奥さんに説明するのが面倒くさいというのが僕の動画

▲身振り手振りを交えながら、ものまねに対する真摯な想いを語る神奈月さん

――見ている人がどのシーンを思い浮かべるかを意識してるんですね。

神奈月 はい。昔、ある日本の歴史の番組なんですけど、歴史上の人物をいろんなプロレスラーで演じるっていう企画があったんですね。何々の戦い、何々の合戦、何々の変だったら、こっちが髙田延彦で相手が武藤敬司、みたいな組み合わせがあるなかで、僕はどの歴史だったかは覚えていないですけど、(ケビン・)ランデルマンがミルコ(・クロコップ)に勝った試合があったじゃないですか?(2004年4月25日『PRIDE GRANDPRIX 2004 開幕戦』ヘビー級グランプリ1回戦) 

――大番狂わせだったので強く記憶に残っています。

神奈月 僕はあのときのシーン(ランデルマンがミルコをKO)のランデルマンをやったんですけど、そしたらテレビを見た人が「あのマウントから殴るシーン、ランデルマンがミルコをやったときのシーンですよね」っていうのを言ってくれてたんで「あ、そういうもんなんだな」「こういうのを求めているんだね」と、そのときに感じました。

わざわざ……なんて言うんですかね、いわゆるこっちで誰々が何々をするシーンですって伝えなくても、見てる人が想像してくれて、興奮して「あのシーンだよ!」「いや、俺はあのシーンだと思うよ!!」っていうのを、上から目線じゃなくて、ちょっと宿題みたいな感じで出すと、見ている人が解いてくれるんですよ。

――さっきの清原さんのものまねも、まさにそうですよね!

神奈月 だから僕は、あえて自分が思いついたあのシーンをやっちゃおうみたいな。そうすると、もう受け手(視聴者)が「あれは10.9の四の字ですよね〔1995年10月9日「新日本プロレス vs UWF インターナショナル 全面戦争」の武藤敬司VS高田延彦のフィニッシュホールド〕」とか「三冠のときのシャイニング・ウィザードだな」とか想像してくれるし、興奮するとも言ってくれました。ただ「奥さんとかに説明するのが面倒くさい」とも言われますね(笑)。

――我が家でも、私が1人で大笑いしていて、奥さんが「何が面白いかわかんない」と。たしかに「10.9の四の字」を説明するのは大変です(笑)。

神奈月 だから異性とは一緒に見ないんだと。神奈月さんの(ものまね)は友達か自分1人で見るんだ、みたいな(笑)。よく言われますよ、それ。だから、媚びない、媚びないです。ただ食いついてくれる分には有難いですよっていう話ですね。

――私はプロレス黄金世代の人間ですが、我々の80年代後半とか90年代の“時代”を神奈月さんが共有してくださってるイメージです。

神奈月 なんか、ほら、自分でもやっててわかるんですけど、あのころの思いって強いじゃないですか。あのころの興奮をもう1回、皆さんによみがえらせたいというか。僕も20代の血気盛んなときに、(80年代後半とか90年代は)熱中して見てたんで。

――ここまでのお話ですごいな、と思ったのは「3~4秒の刹那」というか、たしかに「2億4千万のメドレー」なんていうのは、まさに1人を3~4秒で表現しなければいけないわけですよね。

神奈月 そうですよね。48人いる登場人物の、どこのシーンをメドレーに引っ張ってくるかっていうのはすごく考えました。でも、それは自分自身のなかで一番印象にある部分を表現していくだけだな、と今では思っています。

〇【フライングゲット/AKB48】プロレスラー48人でものまねメドレーしてみた