映画版『2gether THE MOVIE』が先週公開されるなど、タイのBLドラマブームの火付け役になった『2gether』から泰(タイ)流ドラマの沼にハマった人は多いだろう。タイの大学生たちのキャンパスライフや恋愛などの様子が描かれていたが、日本人がイメージしていたタイとのギャップがあったかもしれない。最新のタイ事情や文化について、ニュースクランチがお伝えします。
大学の“制服”を着ているのがステータス
「俺の、ニセの彼氏になってくれ――」。2020年2月にタイで放送開始されると、Twitter世界トレンド1位を獲得し、話題となったタイBLドラマ『2gether』。日本でもノベルスやコミカライズなど関連書籍も多く発売され、主役であるウィンとブライトのイケメン2人も雑誌の表紙を飾るなど大人気となっている。
そしてドラマを見ていて気になったのが、大学生でマイカー通学!? みんな一緒の服!? もしかして大学だけど制服なのか……など、タインやサラワットたち大学生の日常を見ていると、いろいろ気になる疑問がアレやコレやと湧いてきた。そんな疑問を、現地在住でライターとして活動している清水千佳さんに聞いてみました。
――『2gether』を知って一番気になったことがあるのですが、タイでは大学生でも制服を着るのでしょうか?
清水千佳さん(以下、清水) 『2gether』を見た日本人が一番に驚くことは「タイの大学生って、みんな同じ服着てるの? これってもしかして制服?」ということですよね。日本では、制服があるのは高校生くらいまで。大学生になったら「地味な制服から解放されて思いっきりオシャレを楽しもう!」と張り切ってる新入生もよく見かけます。
じつは、タイでは学校に限らず制服文化が根付いているんです。学生であれば幼稚園から大学生まで、ずっと制服を着て通学することが義務付けられています。しかし大学生になると少し違うのが、学校によって“決まった制服があるわけではない”ということ。街の制服ショップに行って、いわゆる制服用として売られている白いシャツと黒いボトムス(男性ならパンツ、女性ならスカート)を買い、その服に校章バッジや校章ベルトをつけてることで、どこの大学の学生なのかわかるようになっています。
タイは公務員にも制服があり、公務員である教師も制服を着て授業を行うこともあります。学校によって厳格さは異なりますが、月曜日は公務員の制服を着て授業を行うように、という先生向けの校則もあるようです。(学校によっては制服を着てくる先生が少ないところもある)
今よりも大学の数が少なく進学率も高くなかった頃は、大学に通うこと自体が特別なことで、大学生であることは優秀さの証でもあった。つまり、大学の制服を着ているということは、“その証を身にまとうこと”だったのです。
このような背景もあり、タイ人にとっては大学はあくまで学びの場所であり、オシャレをする場所ではなく、“制服を着て学生生活を送るべき”という考えが今でも根付いています。
とはいっても、最近ではタイトでスリットの入ったセクシーな制服を着る学生が増えているということが問題視されているので、年ごろの学生がオシャレをしたいという気持ちは万国共通だと思います。
タイには日本よりもはるかに富裕層の数が多い
――ドラマのなかで、サラワットや他の学生が車で通学しているシーンがあったのですが、タイでは普通のことなのでしょうか?
清水 新車販売台数が毎年増加しているタイでは、老若男女問わず車を持つことは今でもステータスです。ちなみに車に対する関税が高く、車の価格は日本の2倍近くします。
富裕層の学生であれば、ドラマのように外国の高級車で通学している光景は普通のことで、富裕層でなくても車通学は一般的な通学手段として普及しています。
皆さんが想像しているよりも、タイには日本よりもはるかに富裕層の数は多いですよ。そのお金持ちっぷりも日本人の想像を超えるもので、複数台の高級車(ポルシェやランボルギーニが人気)を所有し、お手伝いさんたちがいるのが当たり前という家庭では、親が教育熱心である場合も多く、彼らの子供たちの多くはタイの有名名門大学に通っています。
家が裕福で高学歴のうえ、イケメンで美人な一般人も多いのがタイ。「天は二物を与えず」どころか、才色兼備に加えて超リッチ! なんて子がたくさんいます。そのような背景から、有名な名門大学になればなるほど、高級車で通学している学生が多い、というのがタイの特徴です。