「OZプロジェクト」と呼ばれる投資グループの主犯格4人が、2021年7月12日、愛知県警に逮捕された。彼らは「暗号資産をAIで運用すれば儲かる」などとうたい、名古屋市緑区に住む男性などから、現金およそ220万円をだまし取ったとされている。

しかし、これは氷山の一角。このOZプロジェクト一連の投資詐欺による被害者は1万5000人以上、被害総額は60億円以上とも言われている。

今回、このOZプロジェクトをはじめ仮想通貨の投資詐欺に引っかかってしまった、シングルマザーのS子さん(51歳)から話を聞いた。

最初にS子さんから「詐欺かもしれない。一体どうしたらいいのだろうか」という話を聞いたのは、2018年初夏のことだった。その後、たびたび彼女の相談に乗ってきたが、100万円以上の投資したお金は一切返ってきていない。

「詐欺かもしれない」そんな噂が立ち始めた

S子さんが「これは詐欺かもしれない」と気づいたのは、2017年11月頃のことである。

OZプロジェクトの前身とされている「NEST(コインの名称)」が上場する、という連絡が“グループリーダー”となっている男性T氏からあったのだが、その後は、次のような連絡がときどき転送されてくるのみとなったのだ。

▲上場が延期される旨の連絡が繰り返させる (S子さん提供)
▲なかなか公開されず、やきもきする日々 (S子さん提供)

年末を迎える頃には「もう返金はされないのではないか……」という話が、仲間内で上がるようになった。

雲行きが怪しくなっていくとともに、出資したメンバーが情報収拾をするようになり「どうやら詐欺らしい」という噂も掴んでくるようになる。そのうちに、被害者同士がつながり「どうすれば返金されるのか」「詐欺だとしたら訴えたい」という話がまとまっていき、弁護士や詐欺被害支援者に相談に行くようになっていった。

詳しい情報を知りたいと願う人たちがつながりあっていくと、LINEやTelegram(テレグラム)などでグループが作られていった。

だが、実は、その相談し合うグループの中にも、OZ側の人間が含まれているケースがあった。

▲主犯格の詐欺犯が被害者の会を立ち上げていた! (S子さん提供)

「あの人は運営に近い人で、私たちの情報を取りに来ている」と、グループ外で話題が出てくるようになると、もはや誰が味方で、誰が敵なのかわからない……そんな混乱状況に陥っていった。そんなときに「ちょっと話を聞いてほしい」と、私のところにS子さんから連絡があったのだ。