2019年に旗揚げされた『少女歌劇団ミモザーヌ』。コロナ禍により翌2020年12月に行なわれたお披露目公演は無観客開催となってしまったが、あれから8か月――今回ようやく初めて観客を入れての公演が実現した。歓声の代わりに鳴り響いた拍手の嵐……大きな反響を呼んだ8月17日に開催された、なかのZEROでの東京・夏公演『Romance〜恋するように〜』をレポートする。

多種多様な音楽で紡ぐ華麗な非日常感

ショウはジャズの名曲「イン・ザ・ムード」で華やかにスタートした。50年代風の赤いラメワンピースをまとった5人のメンバーたち(いまもりまなか、たかはしまお、すずきみあいムェンドワ、いわむらゆきね、きくたまこと)は、これまた懐かしいガイコツマイクを手に歌い、踊る。軽快なサウンドと華麗な非日常感が、これから始まるレヴューへの、ワクワクした気分を一層盛り上げてくれる。

▲50年代風の赤いラメワンピースをまとった5人のメンバーたち

さまざまなタイプの楽曲で構成されるミモザーヌのレヴューは、曲によってそれを演じるメンバーが変わるスタイル。音楽性も実に多様で、例えば、いわむらゆきねいとうみにぃによる「笑い声で目覚めた朝」は、曲調・衣装・世界観ともに80年代の正統派アイドル風で、書き下ろし楽曲でありながら懐かしい気分にさせられる。いわむらゆきね、ともだりのあ、みしまかほによる昭和歌謡風のポップス「夏色レモン」も同様だ。

そうかと思うと、ラテン系のサウンドが特徴的な「情熱フラミンゴ」(by いまもりまなか、すずきゆい、ちばひなの、たかはしまお、いしばしゆあ)のようにフラミンゴを模した少しセクシーな振り付けがあるものや、「ウェンディ・ソング」(byいまもりまなか、みやはらにこ、やましたあまね、ちばひなの)というピーターパンの世界からスピンアウトしたシーンを描いたミュージカル仕立ての演目もあるし、燕尾服でマイケル・ジャクソンばりのステップを踏んだりする「ラストダンス」(by きくたまこと、すずきみあいムェンドワ)のようなディスコナンバーも、昭和を代表する歌謡デュオ、ザ・ピーナッツ「ふりむかないで」のカヴァー(byともだりのあ、いしばしゆあ)も、果てはインド風の歌謡曲「アブダカダブラ」(by いまもりまなか、いわむらゆきね、ちばひなの、すずきゆい、みしまかほ、たかやあんな、しろみゆ、ろれあ、ともだりのあ)などもある。

テイストは多様なれど、いずれもがガールズ・レビューらしいひたむきさ、清廉さにあふれていて、それがとても好ましい。コロナの影響で舞台の準備もままならず、リモートレッスンを余儀なくされた日々が続いたせいか、彼女たちの表情には客前で演じることのできる喜びがあふれていた。