東京・吉祥寺で結成された5ピースバンド・健やかなる子ら。ドラム以外の4人全員がボーカルを担当している彼らの音楽は、メディアなどで青春パンクと括られることも多いが、作品を聴いてみると、何者にも当てはめられないジャンルレスな音楽性を追求していることに気づくだろう。彼らの本質はライブ。そのフロアでしか生まれない衝動を音に落とし込んでいる。
ニュースクランチ編集部は、健やかなる子らのメインボーカル、ギターのハヤシネオと、ボーカル・ギターのヨシダフミヤにインタビューを敢行。バンドを通して彼らが伝えようとしているものとは?
部室の扉を開けたらヨシダがM字開脚していて……
――健やかなる子らの皆さんは吉祥寺にある大学の同級生だったんですよね。
ハヤシ:そうですね。同じ軽音サークルの先輩後輩で集まりました。
――発起人じゃないですけど、最初に「バンドを組もう」と声をかけたのは?
ハヤシ:それで言うと、俺とヨシダが最初でしたね。
ヨシダ:出会ったときから漠然と“二人で何かやりたい”と思っていて、ずっと音楽の話をしていたので、それを形にして動き始めたのが始まりでした。
――やはり、バンド名が気になってしまうんですが、どういう経緯で決まったんですか?
ヨシダ:たくさんの候補があるなかで、日本語で検索したときにどこにも引っかからないバンド名にしたい、というのが一番の理由でした。
――定番の質問になってしまうんですが、このバンド名には意味はありますか?
ハヤシ:ないっす(笑)。
ヨシダ:ないんですよ(笑)。ただ、ずっと「ない」って言い続けるのか……って、聞かれるたびに思うんで、もっともらしい理由を考えておこうって思うんですけど、忘れちゃう(笑)。
――(笑)。それぞれの第一印象は覚えていますか?
ヨシダ:第一印象か〜。お互いに若かったので、尖っていた感じはありましたよね。音楽をやるために東京に来たところがあって、「コピバンなんて」って斜に構えたスタンスでした。
ハヤシ:第一印象で言うと、初めて会ったときはめちゃめちゃ覚えているんですよ。大学のキャンパスに部室棟というのがあって、そこに俺らの部室が割り当てられているんです。そこに女性の先輩と二人で行って、部室の扉を開けたらヨシダがM字開脚した状態で真ん前にいて、大きな声で先輩の名前を叫んでいたのが最初です。
“なんだ? この人!”って。もう衝撃的ですよ(笑)。その場で「お前、次のライブでトリにしたから」って言われて、“ええっ!?”って。
ヨシダ:ちゃんと覚えてないんですけど、ライブを制作したりするライブ委員みたいなのをやっていたので、そう言ったんだと思います(笑)。
――思い出は薄いですけど、“トリにした”ということは、最初からハヤシさんに目をかけていたということですよね?
ヨシダ:そうですね。第一印象の段階から音楽の趣味も合うと思っていたし、ライブパフォーマンスを見ても、単なる軽音サークルの人に収まらない魅力がありました。当時から頭ひとつ抜けてましたね。
たいしたことじゃないことで喧嘩してます(笑)
――本日は代表してハヤシさん、ヨシダさんに来ていただきましたが、バンド内5人の関係性としては、言いたいことは言えている感じですか?
ヨシダ:だと思いますね。もともと友達で集まったのもありますし、他のバンドと比べても、ラフに言い合える関係なんじゃないかなと思っています。
――ちなみに、リーダーはどなたですか?
ヨシダ:僕ですね。バンドメンバーの意見を集約しながら、最終的な決定を下すことも多いんですけど、僕は子どもっぽいところがあるので、逆に面倒をみてもらっているところもあります。
ハヤシ:それはお互いさまですけどね。みんなの欠点とか、ダルいところを、みんなでカバーしあっていますね。付き合いも長いですし、自然と。
――結成してからどれぐらいになりますか?
ヨシダ:21年4月結成なので、4年目に入ったところですね。
――ある芸人さんにインタビューしたとき、学生時代の友達関係でコンビを解散すると、友達を失うことになるから、しんどいというお話をされていて。わかりやすく運命共同体みたいに、幼馴染で組んだバンドを見ていいなって思いますけど、それって諸刃の剣みたいなところがあるなと感じたんです。
ヨシダ:なるほど。
ハヤシ:たしかにしんどいかも。
――でも、そこを乗り越えていくからこそ、バンドとしての結束が強くなっていく気がするのですが、皆さんは喧嘩とか言い合い的なことはするんですか?
ヨシダ:ぼちぼち、衝突することはありますね。
――それは楽曲制作みたいなところで?
ヨシダ それもありますし、あんまりカッコよくないんですけど、些細な言動でぶつかることもあります。たいしたことじゃないことが多いですね(笑)。