「渋谷は忠犬ハチ公だけど、浦佐は田中角栄!」

さらに、おばたのお兄さんは、りんたろー。が言った「渋谷はハチ公だけど、新潟は忠犬タマ公っしょ」にも「魚沼の人にはピンとこないんだよね」とダメ出し。

代わりに「渋谷は忠犬ハチ公だけど、浦佐は田中角栄だよな!」と力強く言うと、またまた会場はドカーンと笑いの波が生まれたのだった。

おばたのお兄さんは「ゲスト」というポジションではあったのだが、自分の地元でEXITを精一杯もてなそうと、主体的にステージを運んでくれた。EXITの2人もそれを感じて、おばたのお兄さんに花を持たせ、結果、お互いを引き立て合う温かな様子が見られた。

その後は『おばたのお兄さんプレゼンツ・魚沼クイズ』で盛り上がり、『なぁ人類』を歌い、恒例の記念写真を撮って、最後まで和気あいあいとした雰囲気のうちにライブは終了したのだった。

▲おばたのお兄さんによる方言指導を受けるりんたろー。と兼近

帰りのタクシーで運転手さん(おそらく60代)が「今日はすごい一日でしたよ」と話しかけてくれた。なんでもタクシーの需要が多すぎて、仕事が休みだった人にも緊急出動をかけて来てもらったそうだ。恐るべしEXIT効果。

浦佐駅に着いてレシートをもらうとき、運転手さんの手首にいかついシルバーのブレスレットが見えた。よく見ると耳たぶにはピアスもしている。何気なく「アクセサリーお好きなんですね」と言ったら、その運転手さんが「僕もチャラ男なんでね」とニヤリ。りんたろー。さん、兼近さん、萎えぽよエリアにもチャラ男はいます。

一日のオチとしては出来過ぎな運転手さんの言葉に思い出し笑いをしながら、私はもうひとつ大事なことを思い出した。なんと、魚沼に来たのにまだ米を食べていないのである。

最後の最後に魚沼グルメを満喫!

帰りの新幹線までには時間がまだあるので、浦佐駅前の『ファミリーダイニング小玉屋』さんへ入る。ここは地元で人気のレストランで、メニューにはピザやハンバーグ、ラーメンなどもあるのだが、せっかくなら魚沼の名物を食べたい。

店員さんを呼んでその旨を伝えると、おすすめをいくつか見繕ってくれた。テーブルに並んだのは「八色 天恵菇の刺身(やいろ てんけいこのさしみ)」「にいがた和牛の炙り握り」「びしゃもん揚げ」「グリーンファームのブドウジュース」そして「白米」。

▲魚沼のおいしいご飯。中央が店員さんイチオシの「天恵菇=(シイタケ)」の刺身

なかでもイチオシの「天恵菇の刺身」は、地元で生産されている希少なシイタケを刺身にしたもので、アワビのような食感が楽しく、とても食べ応えがある。味もシイタケならではの旨味成分が濃縮されていて、噛めば噛むほど味が染み出る。

「にいがた和牛の炙り握り」は、脂と赤みのバランスがちょうどよく、薄い味付けで肉本来の旨味がしっかりと感じられる逸品だ。

がんもどきを揚げたという「びしゃもん揚げ」は、一皿に2種類のっており、片方がシイタケと塩麹に漬けた鶏肉が入った「里のびしゃもん揚げ」、もう片方がエビとホタテが入った「海のびしゃもん揚げ」。

里の方は、ゆばのようなクリーミーな食感で、揚げたてのカリッとした衣との対比も相まって最高。海の方は、カキフライみたいな感じでこれまた美味!

ワイン用のブドウで作った、少し渋みを感じる大人っぽい味のブドウジュースも素晴らしかったし、なにより白米がとんでもなくおいしかった。水分が多めのつやつやとした炊き上がり。口に入れた粒のかたまりが、ほどけると同時に広がる優しい甘み――いつの間にか食レポになってしまったが、頼んだメニューは全部大当たりで、心から満足した。

駅に戻るとき、魚沼の旅の締めくくりはやっぱこれだよねと、おばたのお兄さんが言っていた田中角栄の銅像を見に行ってみた。

夜8時ともなると周辺は真っ暗。どこにあるかわからなかったので、通りを歩いていた地元の人に「田中角栄の銅像はどこですか?」と聞くと、ちょっと怪訝な顔をされた。こんな時間に待ち合わせ? と思われたのか、もしくは田中角栄マニア? と思われたのかは定かではない。闇に浮かぶ巨大な銅像を見上げながら、今回こうしてEXITを見に来られたのも、ここに無理やり新幹線を通してくれたこの人のおかげなんだな、と思い、心の中でお礼を言ってホームへと向かった。

▲浦佐駅前の「田中角栄立像」は、ストロボのライトが届かないほど巨大でした
※今回の取材は感染対策を徹底したうえで行いました。

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