りんたろー。の故郷で激ウマハンバーグを堪能
人口79万8千人を擁する静岡県最大の都市、浜松市。いわゆる「萎えぽよエリア」ではないのだが、りんたろー。が生まれ育った街ということで地方活性化ツアーの候補地に名乗りを上げ、訪問先の一つとして選ばれた。
浜松駅に降りたら、まずはりんたろー。激オシの『さわやか』に直行。ここはハンバーグがおいしいことで有名な静岡限定のファミレスで、県内に34店舗を展開、ジッター(EXITファンの総称)の間では、兼近が28歳の誕生日を祝った場所としても知られている。
観光協会の人に「すごく並ぶので早く行ったほうがいいですよ」とアドバイスを受けたので、午前10:30の開店と同時に飛び込んだ。
着席してすぐに、りんたろー。が熱愛する「げんこつハンバーグ」をオーダー。ソースは「デミグラス」と「オニオン」が選べるが、りんたろー。の教え通り、ここはオニオンソース一択である。
注文から10分ほどでハンバーグが到着した。料理は熱々の鉄板で提供されるのだが、牛をかたどったデザインの皿がめちゃカワイイ。中央にのっているのは、まさにげんこつのような大きな丸いかたまりで、それを店員さんがナイフで半分にカット、切断面を鉄板に押し付けて焼き加減を調整してくれる。「じゅーっ」という威勢の良い音とともに、肉の焼ける匂いが立ちのぼった。
ミディアムレア状態のハンバーグを口に入れると、見た目よりもかなり噛みごたえがあり、肉の旨味が濃いことがわかる。うん、これは噂に違わぬおいしさだ。オリジナルのオニオンソースも、りんごが入っているのか自然な甘みが最高。
しばらくすると、店員さんが「お肉の焼き加減やお味はいかがですか?」と声をかけてくれた。高級レストランのような接客に思わず「シェフを呼んでください」と言いそうになったが、ここはファミレス、頼んだメニューは¥1,100である。りんたろー。や静岡県民が『さわやか』を愛しているのは、こういうところも含めてなんだろうな。県外から食べに来るお客さんが多いのも納得である。
初『さわやか』を満喫して店を出ると、ふと自分の体から燻製のようなにおいがすることに気がつく。BBQ帰りのような、煙のにおいを午前中から放っているシュールさよ。すれ違う人々に「すみません……」と心の中で謝りながら、あまりさわやかではない“さわやか臭”を消すために外を歩き出した。
今年リニューアルした浜松城へ
向かったのは『浜松城』。王道ど真ん中のスポットだが、観光協会の人が「2021年1月に展示をリニューアルしたのでぜひ」とオススメしてくれたのだ。
歴代の城主が、幕府の重職に就いたことから「出世城」とも呼ばれている浜松城。城の建物にあたる部分は大阪城などと同様、昭和になってから復元されたものなのだが、ツウの見どころは城の足元たる「石垣」にもあるらしい。
この城の石垣は「野面(のづら)積み」と言って、石を加工せずに本来の形を活かしながら組み合わせて積み上げていく手法が取られているそう。江戸時代にもテトリスの達人みたいな人がいたんだな、と思いながら眺めると、たしかに、ゴツゴツと不揃いな配列には野趣に満ちた美しさを感じる。史跡らしく古びてはいるが、工夫と技術で自然を礼賛する先人のセンスは、現代のSDGsにも通じているように思え、とても見応えがあった。
城の内部には、家康公ゆかりの鎧兜や刀、葵の御紋入りの重箱、出土品などが展示されていて、家康が武田信玄の軍勢と戦って負けた「三方ヶ原の合戦」のあらましを映像で紹介するコーナーも。若き家康をかたどったフィギュアは、ゲーム『イケメン戦国』の家康ほどではないが、なかなかのイイ男である。
夏休み中とはいえコロナ禍ということもあって、城内には数人の人しかいなかったけれど、浜松の小学生は社会科見学などでこの城を訪れ、郷土歴史について学ぶのだろう。
本丸を出て、2014年に復元された「天守門」も改めて見学する。門上部の櫓(やぐら)部分には、敵が来たときに上から石を落として攻撃するための「石落とし」があり、防衛の要である城の本質をうかがい知ることができる。復元に使用された木材(松、杉、ヒノキ)は、すべて浜松産というこだわりぶりで、建築には地元の工業高校や林業高校の生徒も参加したそう。
城の周辺一帯は公園になっており、敷地内には美術館や『松韻亭(しょういんてい)』という茶室などもあるということで巡ってみたかったのだが、雨天のため断念。晴れていたら、きっと素敵な散歩ができたことだろう。