ストイックな世界の極地ともいえるボクシングと高カロリーのラーメン。素人目にも相性最悪に思える2つの組み合わせを生活の軸として活動する男がいる。現役のプロボクサーであり、ラーメンを食べまくるYouTuberであり、マジシャンでもある異色のプロボクサー・ジロリアン陸(33)だ。

ボクサーとして現在、5連勝中(かつ3連続KO勝利)と波に乗るバリバリの日本ランカー(ライト級)。年間400杯ペース(!)でラーメンを食べまくり、甘いものも大好きという異色のボクサーは、どのように形成されていったのか? その生きざまとラーメン愛に迫った。

芸人ボクサーに負けて入ったスイッチ

――陸さんのYouTube『ジロリアン陸のチャンネル。』、めちゃめちゃ好きで、よく拝見させていただいてます!

 ありがとうございます。でも、女性の登録者数がこんなことある? ってくらい少ないんですけどね(苦笑)。2%切ってるくらいなんで。まあ、女子ウケする内容でもないので、仕方ないかなとは思いますけど。

――男ウケは抜群だと思います(笑)。ボクサーになる前は、テレビ関係の仕事をされていたんですよね?

 はい。映像系の専門学校を出て上京してから、テレビの会社に就職してテレビカメラマンをやってました。カメラマンの仕事は6~7年続けたんですけど、仕事と並行してボクシングのプロライセンスも取ったんです。そして26歳のときに、お笑いトリオ『ロバート』の山本(博)さんとプロデビュー戦を闘うことになりまして。

――プロデビュー戦がロバートの山本さんということで、陸さんも注目されたんじゃないですか?

 そうですね。山本さんもデビュー戦だったので、テレビ朝日の『(クイズプレゼンバラエティー)Qさま!!』のカメラが入ったんです。それで結果的に僕も注目されたというか。ボクシングって、基本的にランキングに入ってない限りは37歳で引退しなきゃいけないんですけど、山本さんの場合はライセンスを失効する前に、プロで1試合やっておきたいっていう感じだったんですよね。

――そういうことだったんですか。結果的に、ここで山本さんに負けたのが悔しくてプロに専念されたとか。

 そうですね。単純に負けてちょっと恥ずかしいというか、悔しい気持ちもあったし、テレビの仕事はどうしても深夜だったり時間も不規則なので、練習もなかなか行けなかったりしたんですよね。だから、仕事を辞めてボクシングを本気でやってみようと。

▲ロバート山本さんに負けたことがプロに専念するきっかけになったと語る陸さん

――そこで仕事を辞めちゃう覚悟がすごいですよね。

 ようやくアシスタント期間が終わって、カメラマンになって、という時期だったんで、会社的には「やっと育てて、ちょうどこれから」というところだったんですけど。

――せっかくキツいアシスタント時代を乗り切ったのに。

 そうですね(苦笑)。有名な番組とかもいろいろ携わらせてもらって、すごく楽しかったし、休業や部署移動なんかも提案してくれたんですけど、辞めようと。

――葛藤はなかったんですか? 安定した生活を捨てることに。

 うちの会社は正直、給料も良かったんですよ。「お前、辞めたら、もう1回うちの会社ぐらい給料のいい会社に勤められる可能性はもうほとんどないよ?」って言われて、確かにそうだなとは思ったんです。でも、不思議と辞めることに葛藤はなかったんですよね。負けて悔しかったのもあるし、これはみんな言いますけど、“リングに1回上がったら辞められない”というか。