減量地獄に勝るラーメン愛

――リングの魔力というやつですね。負けたけど、またすぐに試合したいと思ったわけですか。

 すぐ試合したいなと思ったんですけど、その当時のままだと勝てる実力がないとはわかっていたんで、そこから1年間はボクシングに打ち込みましたね。デビューから約1年後に、2戦目で初勝利を挙げたんですけど、デビュー戦から2戦目までの期間は、自分の中でいちばん強くなった期間かな、という自負があります。

▲普段ラーメンばかり食べているとは思えない鍛え抜かれた肉体 写真:kaneshin

――そこから勝ち続けて、すべてKO勝ちの8連勝で、2017年度東日本スーパーフェザー級新人王にまでなったのが、すごいです。そもそもボクシングを始めたキッカケは、なんだったんですか?

 単純に、上にいけるかなっていう変な自信はあったんですよ。小中高は野球をやってたんですけど、学校の体力測定とか、野球部のなかでのテストとかでも毎回上位だったんで。プラス、いとこがキックボクシングのKrushとかRIZEという団体の元チャンピオン(板橋寛)だったんですけど、いとこの試合を見に行ったりしてるうちに触発された部分もあって。でも、蹴りは痛そうなんで、ボクシングにした感じで(笑)。

――そんな陸さんといえば、ラーメンとセットみたいなところがありますけど、そもそもラーメンとボクシングの組み合わせって「悪」でしかないですよね。両立させていくことって、相当大変じゃないですか?

 そうですね。やっぱ減量がキツいですし、体には良くないですね(笑)。

――“ラーメン断ち”はいつくらいから?

 前回は、試合の1カ月半前ぐらいから始めました。序盤はラーメンは食べてもあっさりめのやつとか、あとは大盛りにしないとか、ご飯はつけないとか、そういうとこから始めて、完全にラーメンを断つのは3週間前ぐらいからですかね。

――YouTubeで拝見しましたけど、試合前日に、あと3キロ水抜き(体内の水分を一時的に抜くことで体重を軽くし、計量をクリアする作業)みたいな減量とかやられてますもんね?

 はい。自分は、前日にあと4キロだったら大丈夫な範囲っていう感じで。これは自分の中での線引きですけど、前日、朝起きて4キロオーバーだったら、なんとかなるなっていう。でも、僕みたいに試合に向けての減量で14~5キロ落とす選手は、あんまり周りでも聞かないですね。だいたい8キロとか、多くても10キロぐらいだと思うんですけど。

――ラーメンばっか食べなきゃ、そんなことにならないんですけどね(笑)。ラーメンは年間400杯くらい食べるそうですけど、昔から好きなんですか?

 いや、地元の宮城にいたときは、そこまで食べ歩くような感じでもなくて。やっぱり上京して、ラーメン二郎に出会ってからですかね。

――やっぱり目覚めは二郎なんですね。専門学校は東京ですか?

 専門学校は地元の仙台なんですけど、17歳で東京に遊びに行ったとき、初めて松戸でラーメン二郎を食べたんですよ。そのときは正直『まあ、おいしいけど、そんなにみんなが言うほどかな?』っていう感じだったんです。で、新宿から仙台に戻る深夜バスを待つ間に、ラーメン二郎が歌舞伎町にもあったんで、そこでも食べて。それで地元に帰ったら、もうラーメン二郎がめちゃくちゃ食べたくなって、ホント夢にまで出てきたんですよ(笑)。

▲おいしそうにすすっています

――夢にまで!(笑)

 当時、仙台には二郎がなかったんですけど、インスパイア系が1軒だけあって、そこにはめちゃくちゃ通いましたね。そこから地元でもラーメンを頻繁に食べるようになって、上京してからはラーメン二郎をメインとして、いろんなラーメン屋さんを食べ歩くようになりました。