日本テレビ系の朝の情報番組『ZIP!』の人気コーナー「星星のベラベラENGLISH」への出演などで知られている俳優の米倉れいあ。今回、TikTokと東宝が立ち上げた新たな映画祭『TikTok TOHO Film Festival 2021』の招待作品として制作された映画『幸ト音』に主要キャストとして出演している。
そもそも、米倉の芸能界入りのきっかけがTikTokだったそう。不思議な芸能界入りのきっかけから演技についての話、SNSメディアや「星星のベラベラENGLISH」をはじめとした仕事への向き合いかた、そして今後について、明るく楽しく真面目に語ってくれた。
セリフを自分の感覚で言えたら納得!
――日本初となるTikTokクリエイターが監督を務めた新しい縦型映画『幸ト音(さちとおと)』、拝見させていただきました。れいあさんは主人公・幸(さち)の若い頃と幸の娘の2役に挑戦されていて、初々しいお芝居、進路のことで父親に少し反抗するお芝居、それぞれとても自然で見事でした。
米倉 ありがとうございます! 今回の役で反抗期のお芝居に関して言うと、少し恥ずかしいんですが、ちょっと前まで自分がそうだったので、自然にできたのかもしれないですね(笑)。もちろん、今はとても仲良しなんですけど、演じている幸の気持ちもわかるなって。泣くシーンもあるんですけど、役に入り込んでいたので自然にできました。
――なるほど! お芝居するときに心がけていることはありますか?
米倉 心がけている、という程のことではないんですが、軽く台本を読んで、それを自分の感覚で自然に言えたら「勝ちだな!」って思っています。
――「勝ちだな!」っていいですね!(笑)。でも、それであの演技ができているのがすごいです。
米倉 『青のSP-学校内警察・嶋田隆平-』に出演させていただいたときは、最終回で泣くシーンがあったんですけど、あまり作り込んでいくよりも、涌井美月って役が自分の中に入っていたので、溜め込んだものを自然に吐き出せば大丈夫!って気持ちで望みました。本番も勝手に涙が出てくるし、その方が見ている人も感情移入しやすいんじゃないかって思って。
――話を聞けば聞くほど、れいあさんの“すごみ”を感じるのですが……!
米倉 (笑)。いえいえ! でも、あまり台本を読み込み過ぎても、うまく感情移入できないなって思っていて。セリフはしっかり覚えるんですけど、自分の中で決め込まずに、ちょっと曖昧な部分を残していくと、本番で仕上がる、ってイメージですね。
――役を憑依させていく感じなのかなと思いました。
米倉 そうですね。でも、お芝居自体まだ始めてから日も浅いですし「うまくできてるかな」って不安もありつつ、スタッフさんやファンの皆さんが褒めてくださるのを見て「良かったな、でももっと頑張らないと」って思ってます。
――お芝居に関して、アドバイスをもらったりされてるんですか?
米倉 アドバイスをいただいたら、もちろんありがたく聞くんですけど、自分の中でそれをうまく使えないんですよね(笑)。今は、その役柄とどう向き合って、自分がその人物のことをどう捉えるかのほうが重要で、アドバイスは覚えておいて後々使えるときのために貯めておこうかなって。
――なるほど。お芝居はこうあるべき、みたいなのに引っ張られないことが大事なんですね。
米倉 そうですね。よく「憧れの女優さんは?」って聞かれることもあって、もちろん事務所の大先輩の石原さとみさんとか、ほかにもたくさんいるんですけど、憧れていてもその方と同じようにできないし、なれないし、それよりも自分を自然に出せるほうがお芝居に関しては良いな、と思って。だから、今は少し語弊があるかもですが「いません!」って言ってます(笑)。
ホリプロからのDMを怪しいサイトと勘違い!?
――『幸ト音』もTikTokクリエイターが監督を務めた新しいタイプの作品で、れいあさん自身もTikTokが芸能界入りのきっかけと伺ったんですが。
米倉 はい。中学1年のときなんですけど、YouTubeを見ていたらTikTokの広告が流れてきて「面白そう」くらいの軽いノリで撮った動画がバズって、そのあとも友達とほぼ遊びの感覚でやっていたんですが、インスタにDMが来て、それがスカウトでした。
――もともと芸能界に興味はあったんですか?
米倉 全くなかったです。だからびっくりして、すぐお母さんに「ねえ変なの来たよ、これ絶対怪しいやつだよ」って報告して。そうしたら、お母さんがちゃんと見てくれて「ホリプロって本当にすごい事務所だからやってみなよ!」って(笑)。だから本当、事務所のこともよく知らないくらい、芸能界には興味なかったです(笑)。
――あははは!(笑) 野心がある人も、それはそれで素晴らしいと思うんですけど、野心がなくて自然体だなって思いました。
米倉 自分の中で飽きさせない、っていうのは何事にも通じることかもしれないです。例えば、TikTokもそろそろ撮ろうかな、くらいの気持ちのほうが私には合っていて。本当は毎日投稿したほうが良いと思うんですけど、それが義務になっちゃうと絶対飽きちゃうので、自分の中で新鮮さを保つことが重要ですね。
デジタルタトゥーの危険性に警鐘
――若い世代には、TiKTokでのコミュニケーションが当たり前になってますし、それこそ、れいあさんの最初にバズった動画も、今の10代前半の子も知ってるくらい今も拡散されてるし、れいあさんがバズっていったのに憧れて、TiKTokで有名になりたいっていう同世代の子とかもいると思うんですが、そういった人に何かアドバイスすることはありますか?
米倉 うーん、バズらせるアドバイスとは少し逆になっちゃうんですけど、有名になりたい、注目されたいって思ってやりすぎちゃったり、少しでも「これはヤバそうだな」と思ったものはアップしないほうがいいよ! ってことは伝えたいですね。ネットって本当に怖いので、1回出しちゃうと下げても誰かがスクショしたりしていたらずっと残るし。
――本当にそうですよね。
米倉 私も初めの頃、いとこと通ってる学校の制服で動画をアップしちゃったことがあって、それはすぐに削除したんですけど。ほかにもTiKTokの動画を勝手にYouTubeに転載されたりとか、さまざまな形で残るし、拡散されていくので、背景とかも気をつけたほうが良いし、(インタビューを行った部屋の壁を指して)こういう何の変哲もない真っ白い壁の前でやった方が良いし!
――あははは!(笑)
米倉 あと、どこなのかよくわからない海で撮ったりとか(笑)。家の近所がわかるようなものは載せない、とか。本当に悪いハッカーみたいな人がいるので、私はそのハッカーを突きとめてやろうかって思ってるんですけど(笑)。バズることを第一に考えちゃうと、弱い子はそういうのに悩まされたりするんで、気をつけてほしいなって思います。
――本当そうですよね。昨今、社会問題になりつつあることでもあるし、れいあさんみたいにTikTokでシンデレラストーリーを体現した人だからこそ、説得力のある言葉だなと思いました。リスクヘッジの話とは別に、ロケーションの話もされてましたが、技術やテクニック的なことで何かアドバイスはありますか?
米倉 流行りの曲を使って、自然光で撮るのがオススメですね。リングライト使うのもいいと思うんですけど、やっぱり透明感があって自然な可愛さが出るのは、自然光だと思います!