世界のバッテリー覇権争いシェアトップ「CATL」
池田 今、世界中の自動車メーカーがバッテリーの供給を受けているのは、多くが中国か韓国のメーカーです。
日本製はパナソニックが多いのですが、安全で品質が良いから、限られたところしかもらえないわけですね。世界の自動車メーカーはどこも欲しがっているけれども競争率が高い。
加藤 中国のCATLは、ほとんどのドイツ車、BMW、ダイムラー(メルセデスベンツ)、VW(フォルクスワーゲン)のほか、ジャガー、ランドローバーをはじめ、テスラ、GM、トヨタ、ホンダ、日産、ボルボ、PSAグループなど、ほぼ全てのメーカーがCATLに出資して、育てていますね。ちょっとすごくないですか?
岡崎 育てているというよりも、彼ら自動車メーカーにとっては、もはや“ありがたく供給いただいている”という感じになっちゃっているんじゃないですか。
加藤 中国内ではCATL一強です。
池田 それは中国共産党の、まさに「中国製造2025」の成果ですよ。中国で売るクルマには、中国製のバッテリーを積まなきゃならないルールを課しているのです。だから、バッテリーを売ってもらえないと中国でビジネスができない。
加藤 EVの生産数を増やすということは、ひとえにCATLやBYDのバッテリーが増えていくことになりますよね?
岡崎 それに気付いたアメリカ、あるいはヨーロッパ勢は、大急ぎで自国内にバッテリー工場を建設し始めた……というのが2021年前半の流れですね。
加藤 でも、CATLも欧州に工場をどんどん作っているとか。
岡崎 そうですね。まさにバッテリー覇権争いが始まっています。
加藤 そう考えると、最初に中国の自動車産業のなかで、どこが育つかというと、バッテリーメーカーが育つ。
誰がEVで一番得するのかといったら、まさにこのバッテリーメーカーです。電池メーカーがまずは圧倒的に潤っていく、という構図になるわけですね。
岡崎 少なくとも日本で製造するクルマには、日本で製造したバッテリーを積むようにしていかないと、これは本気でまずいことになりますね。
池田 そういった経済安保の面でも大変重要なんですよ。