予期せぬ出来事が笑いにつながる
湯河原の時はハーレー軍団みたいなのがいて、藤原寛(ふじわらひろし)さん(当時のダウンタウンのチーフマネージャー)が旅館の女将の髪型のヘルメットかぶって、サイドカーに乗って登場するという仕掛けがありました。
そして、おばちゃん3号がヒッチハイクをやるみたいな企画はバカウケしたのですが、作家を大仕掛けの機械で吊り上げるという企画はまったくウケませんでした。ボクらは大仕掛けのものに気を取られるあまり、お笑いの本質が見えなくなっているというか、何をしたいのかよくわからなくなってしまったのです。
そんな中で、プロデューサーの中村喜伸(なかむらよしのぶ)がC‐3PO、ディレクターの大沼朗裕(おおぬまあきひろ)がR2‐D2の格好をして、ただ単純に『スター・ウォーズ』のパクリを庭に面した廊下でやるだけという指令がありました。で、腰ふりおばちゃんがダースベイダーの格好をして「ハァ~ッ、ハァ~ッ」と言いながら部屋の中を一周するだけのネタです。
それも大して面白くなかったのですが(笑)、その後、再び中村C‐3POが登場して、庭側の窓をただ開けて戻っていくというワンシーンがありました。
収録はたしか10月で、夜はけっこう寒いんですよ。だから、窓を開けるだけだったのですが、素人ですから、C‐3POの動きのマネをするだけで一杯いっぱいだったのでしょう(笑)。窓を開けることもなく、しばらく経っても別に何も起こりません。その無意味さが浜ちゃんの笑いのツボに入ってしまいました。
「もう一回、開けにいってこい」という演出の指令が喜伸にくだって、また単に窓を開けるために喜伸が登場。最後は喜伸登場のBGMだけでも浜ちゃんが笑いのドツボにハマってしまったわけです。
まったく予期せぬことが笑いにつながるということの発見になりましたし、逆にこっちが笑わせようと仕掛けたものは、大体ダメだということもわかったシーンですね。
人を笑わせるということは本当に難しいものです。一生懸命仕掛けたところで笑ってくれるとは限らず、計算外のさりげないことで笑いが取れたりしますから。
だからこそ、ここに至ると「人間ってどういう時に笑うんだろう?」という、哲学みたいな考え方になっています。