超人気番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』を手掛けた、人気プロデューサー・菅賢治氏が語る番組作りの哲学。親から「子供に見せたくない」と白い目を向けられるぐらいじゃなければ、面白い番組にはなりえない。
※本記事は、菅賢治:著『笑う仕事術』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。
「くだらない」が最高の褒め言葉
昔の人たちは、「しょせんテレビがやっていることだから」みたいに、いい意味でテレビを見下してくれていました。
テレビなんて刹那(せつな)的なものだし、「テレビ文化」と言われれば「文化」かもしれませんが、それほどのものでもありません。そもそもボクらがやってきたのはお笑い番組であって情報番組ではないですから、何か生活の役に立とうなんてこれっぽっちも思っていませんし、逆に役に立たないからこそ面白いわけで。
だから、ボクらは「くだらない」と言われるのは、最高の褒め言葉だと思ってます。バラエティの演出家同士では「くだらなかったね、昨日の番組」と言ったら、それは最高だって意味なんです。
視聴者の皆さんは本当にくだらないと思っているかもしれませんが(笑)、お笑い番組ですから「くだらなくて何がいけないのか」という思いがあります。
年越しのカウントダウンに関しても、なぜしなければいけないのかわからないし、したからなんだよって思いませんか? そんなことより、テレビを観てて笑い転げてたら年が明けてたねっていうほうがいいとボクは思うのです。
実際、今は大学生とか若いサラリーマンたちは、大画面のテレビのある友達のウチに大晦日に集まって『笑ってはいけない』を観ていると聞きました。そして、そこでみんなで酒を飲みながら、放送開始の時間になったら「ここからはもう笑っちゃいけないんだよ」って“疑似・笑ってはいけない”をやっているそうです。ほとんどパブリックビューイングのノリですよね。
ただ、テレビマンにとってみると、一カ所に集まらないで、それぞれの自宅で見てほしいんです。だって視聴率が悪くなるから(笑)。
日本テレビにいた時には、実際にパブリックビューイングをやりましたけど、実はこれ、レイティングが取れないからテレビとしては整合性がありません。
でも、皆さんが『笑ってはいけない』を大晦日のイベントだと思ってくれているのは、非常にありがたいことです。テレビマンとしてはやっぱりバラバラで見てほしいですけど(笑)、みんなで集まって観たいという気持ちも非常に嬉しかったりします。