「世界で通用するパフォーマンス集団」を目指して2019年に旗揚げされた『少女歌劇団ミモザーヌ』。10代の少女たちによる歌と踊りを主体としたレヴューで、新感覚のエンターテインメントの形を実現する彼女らの冬公演『Winter Story』の開催が決定した(大阪公演:2021年12月28日、東京公演:2022年1月9日)。

ミモザーヌのレパートリーは「イン・ザ・ムード」や「ジェリコの戦い」のようなジャズのスタンダードナンバーから、80年代アイドル歌謡を彷彿とさせるキュートなポップソング、時にラテン系、時にはミュージカル風、果ては“ゆかしい旋律”が印象的な和風の楽曲までと実に多様。ダンスにおいても、大勢での演舞からストリートダンス、アクロバティックなものまでさまざまだ。

8月に行なった夏公演『Romance~恋するように~』で、潜在的なポテンシャルの高さを見せつけた彼女たちだが、観客を入れた公演を初めて経験したことで見えてきた課題もある。今度の冬公演では、さらに精度の上がったパフォーマンスを見られることだと思う。

また、ミモザーヌの活動期間は「20歳まで」と決められているため、今回の冬公演で最年長メンバーのきくたまことが卒団するのも注目のポイントだ。初の「卒団」という行事がグループ全体にどんな影響を及ぼすか――それも含めて楽しみな公演と言えるだろう。

▲「少女歌劇団ミモザーヌ」もうりさくらインタビュー
夏公演で披露した「MONSTER NIGHT」では、長身を活かしたキレのある動きが印象的だったもうりさくら。真面目でひたむきに努力するタイプの人間が多いミモザーヌの中でも、こと実直かつ手堅い性格の彼女は、1期生の中ではともすれば地味な印象だった。それが夏公演で得た学び、そして目前に迫る敬愛するきくたまことの卒団をきっかけに意識が変わり始めているようだ。この日の取材でも冬公演にかける意気込みを熱っぽく語ってくれた。

高身長を活かしたダイナミックさと小技のギャップ

――もうすぐ冬公演ですが、夏公演を経ての新たな目標はありますか?

もうり はい。お客さんが入る前は「自分を大きく見せる」というイメージで、“目線は上”にした方がいいっていう意識があったんですけど、実際に夏公演を経験してみると、お客さんって下の方にいはって、そうなると下を見ないといけないなと思いました。そのために猫背気味になっちゃったりもして、まだまだ技術面では未熟だなと思いましたね。

想像したら、お客さんは下にいはるっていうのはわかったはずなのに、それができなくて悔しいというか、伝えきれなかったという思いがあったので、今回は面と向かって気持ちが伝え合えるよう意識して、お客さんと共有するっていうのを大切にしたいなって思います。

――冬公演の準備は進んでいますか?

もうり はい。今、一生懸命に作っている最中です。学業優先で土日しかできないなかで、振り入れとか覚えるスピードも早くなって。

――メンバーはライバルって感じなんでしょうか。

もうり ただのライバルってわけじゃないんです。「あの子に負けたくないな」とか「あの子のほうが上手かも」とかは思ったりするんですけど、年齢差があるので。「私が、あの子の年のときはあんなのできたかな」とか思ったりするので。それよりも一緒に頑張ってるっていう仲間意識があります。お互いを高めあえる関係かなと思ってます。

――自分がミモザーヌに貢献するうえでの強みはなんだと思いますか?

もうり 私はミモザーヌの中で一番背が高くて169.9センチなんですけど、高身長を活かしたダイナミックさを見ていただきたいです。その一方で小技もあって、ヤギのモノマネとか、あと、耳を動かすことができたりとか(笑)。特技っていうほどのことではないんですけど、セルフひざカックンが好きで、ひざカックンを自分でできる(笑)。そういう変な特技があります。

――ミモザーヌの人って、ちょっと笑える要素を持った人が多いんですよね。幕間のMCもさすが関西人だな、と思うし。

もうり そうですね(笑)。でも、私たちが入ったときは、みんな全然喋れなくて。ミーティングやトークレッスンがあるんですけど、広井さんが「河原で喧嘩して仲直りした」とかお題をくれるので、それを聞いて演技するんです。もう、ホント無茶振りがすごくて、みんな泣いてます(笑)。でも、その無茶振りに日頃から慣れておくと……。

――ハートが鍛えられてるわけですね(笑)。

もうり そうです。急に「さくら、なんか面白い話して」って言われるんですよ、みんなの前で。そんなときは一応「はい」って言います。広井さんは「(もしエピソードが)なかったとしても自分で面白い話作れ」っておっしゃるので。「5秒黙ったら放送事故」っていうのを胸に、喋ることもレッスンの一つだよって言葉を守って取り組んでいます。