不安を「目標の目印」と捉えたい

――「前は人見知りだったんです」っていう人が多いけど、その無茶振りでちゃんとみんな仕上がるんですね(笑)。ミモザーヌは20歳までしかいられないわけですが、もうりさんはあと3年でどんなことを成し遂げたいですか?

もうり 今回、まこっちゃん(きくたまこと)が卒業するわけですけど、今までいてくれたありがたさとかを深く感じてて、今、私がまこっちゃんに対して思ってる気持ちを、私が卒業するときにもみんなに思ってもらいたいなって。ただ「今までありがとう」じゃなくて「今までこんなことをしてくれたんだな」ってわかってもらえるように、今から周りを見て、私ができることをやろうって思いました。私にしかできないこともあると思うんで、それを精いっぱいやっていくってことを目標にしてます。

――下の子たちにとって頼れる先輩になるようにってことですね。もうりさんはミモザーヌをどうしていきたいと思っていますか?

もうり ミモザーヌはまだまだ知名度がないので、まずは私たちがやっていることをたくさんの人に認めてもらえるよう、活動を広めることとか、ミモザーヌっていう劇団をダンスとか歌だけで尊敬してもらえるだけじゃなく、普段の行動――挨拶とか礼儀の面で同じ世代の人たちに「ああいうふうになりたいな」って思われるような劇団にしていきたいですね。

――ミモザーヌをやっていることによって、一人の人間としても成長しているわけですね。

もうり そうですね。学校って、先生とかはいるんですけど、主に同い年の子たちとコミュニケーションを取るじゃないですか。でも、ミモザーヌではマネージャーさんをはじめ大人の方がたくさんいて、普通だったら私たちの年齢だったらできない経験をさせてもらっているので、それを貴重な経験として受け取らせていただいてます。そしてその経験を発信していくのも私たちの役目かなと思っています。

――頼もしいですね。一方で不安に感じていることはありますか?

もうり 不安なことはいつでもあります。「今、この(進捗)状態で公演が無事にうまくいくのかな?」とか「まこちゃんが卒業したあと、大丈夫かな?」とか。でも、その不安をどういうふうに改善していくか、解消するにはどうするべきかっていうのを考えて、不安を「目標の目印」と捉えたいと思っています。そういう意味では、不安も大切にしていきたいですね。

同席していた、しものあやめに「もうりさんはどんな人?」と聞くと「まことちゃんはお母さんみたいなんですけど、さくらちゃんはお姉ちゃんみたいな存在。いつもお世話してもらってます」という答えが返ってきた。家が近いのでレッスンの行き帰りが一緒になることが多いが、そんなとき、もうりはしものが乗る電車の時間を調べてくれたりするそうだ。そんな、もともと面倒見がいい彼女、きくたまことがいなくなることで一層リーダーシップが目覚めてきた模様。特に「不安があるから自分のするべきことがわかる。そういう意味で不安は“目標の目印”」という発言には唸らされた。覚醒した17歳、もうりさくらの今後から目が離せない。
▲「少女歌劇団ミモザーヌ」もうりさくらインタビュー