毎年の初競りがニュースになるなど、日本人にとって「マグロ」は魚のなかでも特別な存在。新型コロナの影響で外食の機会は減ってしまったが、その代わりに自宅でお取り寄せグルメを楽しむ人も増えたのではないだろうか。2009年にNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、マグロ仲買人としてその仕事ぶりを紹介された藤田浩毅氏が立ち上げたのが、厳選食材キュレーションメディア「daidokoro」。藤田氏にサービスを立ち上げた思いを聞いてみました。

こだわるのは「味」と「しっとりとした軟らかさ」

――本日はよろしくお願いします。藤田社長の経歴を拝見したのですが、大学卒業後、働きながら、切り身加工のアルバイトもされていたですね。

藤田 セリに参加する資金を貯めるためでした。どうしてもマグロの仲買人になりたかったんですよ、マグロは高いですからね。その甲斐もあって、今も豊洲市場でマグロ仲卸業を営んでいます。

――「daidokoro」を始めたキッカケを教えてください。

藤田 現在、マグロの価格が高騰してしまい、一般家庭の食卓に並びづらい状況です。おいしいマグロを、裕福な人しか口にできない世の中はおかしい。「安心安全なおいしいマグロをすべての方に!」をスローガンに、このサービスをスタートさせました。

――マグロのプロフェッショナルとして、こだわりのポイントは?

藤田 昨今、食の安全や産地偽装などが発覚して問題になることが多々あります。ECサイトが乱立するなかで、消費者はどの情報を信じればよいのかわからず、困惑されているのではないでしょうか。

そこで、安心しておいしい食材を購入できる食材サイトの立ち上げを企画しました。豊洲の仲買人である私が厳選した食材のみを販売しますので、水揚げ地、味についても、ご安心いただけると思います。

また、世間では本当の食材の味よりも「情報」=「口コミ」のみが先行してしまっており、特定商品の価格が高騰してしまっています。マグロを例に上げると、一般的な冷凍マグロは獲ってすぐに船上処理され、船の冷凍設備で凍結をかけられます。鮮度保持でいえば、最上の方法でしょう。

特定の水揚げ地のマグロでなくとも、弊社の「生冷」という技術を使って冷凍を行えば、味わいは旬の本マグロそのものです。私がこだわるのは「味」と「しっとりとした軟らかさ」なんです。柵の状態では見た目の差が若干出てしまいますが、お刺身の状態に切れば、元通り発色します。味の劣化は一切ありません。

このような冷凍技術を使い、厳選されたマグロが銀座などの一流寿司店に並びます。販売サイトでは現在、すきやばし次郎様のすし飯やすし酢などを組み合わせた「手巻き寿司セット」が、多くの反響をいただいております。

――具体的にはどのような?

藤田 商品を購入されたお客様からは、SNSやECサイトで「以前購入して、とても美味しかったので、贈り物にした。」「こんな美味しいマグロは初めて!」など多くの反響がありました。

また、2020年にはコロナ感染が広がり、大変な思いをされたご家庭も増えてしまいました。そこで、ひとり親のご家庭にマグロをお届けするプロジェクトを実施いたしました。お子様にも大変喜んでいただけたようで、今後も不定期ではありますが継続して実施していきたいと思っています。

――最後に今後の展開を教えてください。

藤田 ECサイトでは、私が納得できるマグロのみをお客様へ販売いたします。商品のクオリティに一切妥協はありません。他にも安定したクオリティーでご提供できる、マグロの加工品も開発しておりまして、現在はマグロの頬肉のステーキを開発中です。商品化でき次第、ECサイトでお知らせいたしますのでご期待ください!

――本日はありがとうございました。


プロフィール
 
藤田 浩毅(ふじた・ひろき)
株式会社フジタ水産代表取締役。1963年、神奈川県生まれ。2009年に『プロフェッショナル 仕事の流儀・第107回「まぐろ一徹、意地を張れ」』に出演。現在は豊洲市場でマグロ仲卸業として、『ミシュランガイド東京2008』に載った寿司屋などにマグロを卸している。厳選食材キュレーションサイト「daidokoro」Instagram:@daidokoro_tokyo、Facebook:@daidokorotokyo