昨年の『M-1』決勝進出をきっかけに一躍人気芸人の仲間入りを果たしたオズワルド。飄々としたキャラクターの二人だが、吉本芸人としての矜持は人一倍高い。誰よりも多く場数を踏み、日々研鑽を積む果てに目指すのは、やっぱり若手漫才師垂涎のタイトル『M-1』優勝。性格も志向も真逆の不思議なコンビが、創業110周年の大舞台を経て、今の熱い思いを打ち明けてくれた。
吉本の強みは師匠と劇場
――歴史ある吉本興業の創業イベントに関わることができる気持ちはいかがですか?
畠中悠(以下畠中) 僕ら初めてですからね。100周年のときは、まだ1年目とかだったので。
伊藤俊介(以下伊藤) あの頃は指くわえて見ているしかなかったんですけど。
畠中 当然、駆り出されもせず、Twitterとかで見るぐらいの感じで。
伊藤 だから10年経って、このイベントでしっかり3分半ネタやらせてもらえるのは感慨深いですね。
――とりわけNGK(なんばグランド花月)は「お笑いの殿堂」ですから、晴れの日にこのステージに立てるということにもすごく大きな意味がありますよね。
畠中 そうですね、感慨深いものがありますね。いかに吉本がでかい会社なのかというのを今日改めて実感しました。芸人もそうですけど、裏方さんとか社員さんとかも勢揃いしていて、一つのミスも許されないような雰囲気だったので。
――それで「ロードバイクとレトリーバー、どっちを買う?」という鉄板ネタをやったんですか。
伊藤 そうです、スベったら殺されるというような雰囲気だったので(笑)。
畠中 そうですね(苦笑)。
伊藤 終わった直後は、もしかしたらギリ殺されるかもなんてちょっと思いましたけど。
――でもめっちゃウケてましたよ!
畠中 ウケてました?
伊藤 自分ではわからなかったですもん。
畠中 他の人たちのウケ具合もわからないので。
伊藤 たくさん出演者がいるので時間も厳守ですからね。
畠中 3分半ね。
伊藤 空気階段が僕らのあとの出番で、たぶん3分半超える感じだったので。
畠中 超えていたね(笑)。
伊藤 もうこの世にはいないかなと。
畠中 もう会えないですね(笑)。
伊藤 超えたら舞台上で命を狙われると聞いているので。
畠中 荷物は俺が持って帰ります。実家に届けます。
――ハハハハ。お二人は、自分の中にある「吉本芸人感」みたいなものを感じることはありますか?
伊藤 めちゃくちゃ思いますけどね。こんな言い方あれですけど、どんなに上品にしていてもやっぱり吉本はバレるんですよ(笑)。
――どういうことですか?
伊藤 やっぱり平場とか、いざ始まると自分は吉本だなってめっちゃ思いますね。
――ガツガツ笑いを取りにいっちゃうんですか?
伊藤 そうです。ガツガツいっちゃう!
畠中 また、舞台数とかがやっぱり吉本ならではだなと思いますね、僕は。本当にありがたいことに大阪から東京、大宮、幕張とか、吉本中の劇場に毎日出させてもらっているので。こんなに経験できる事務所は他にない。
――吉本は縦の繋がり、横の繋がりも多様多彩ですよね。
伊藤 こんなに、めっちゃ上の兄さんとか師匠とかと頻繁に会える事務所もそうないんじゃないかなー。特にのりお・よしお師匠とか、ザ・ぼんち師匠とか、あんなに面白い方たちはいません。本当に全部、地でいっているというか。
畠中 のりお・よしお師匠は喫茶店で僕らがネタ合わせしていたら隣の席にやってきてくださって、ずっと1時間ぐらい喋っているとかありましたね。
伊藤 ぼんちおさむ師匠に家にも呼んでいただいたり、飯食わしてもらったりとか、飲ましてもらったりとか。
――そういう交流のなかで学びもあるんですね。
伊藤 そうですね。おさむ師匠なんてネタ中にめちゃくちゃ奇声あげるんですけど、なんでかわかるかって聞かれたことがあって。「ちょっとわからないです」って言ったら、あれネタ飛んでいるらしいんですよ(笑)。
――ええっ!?
伊藤 だから、なんとかならなかったら、ああいう方法もあるという(笑)。