絵を描いたらみんなが褒めてくれる
――芸能活動を休止して、96年にスペインに渡ります。芸能活動を続けながら、ということは考えられなかったのでしょうか?
ジミー 器用なほうではないので、当時は頭の切り替えがうまくいかなくて、頭の中がごちゃごちゃになってしまったんです。だから、芸人と絵、どっちかに絞らないといけないなと。それで画家に絞ろうと思って、さんまさんに相談したら「レギュラー番組もあるから1年は芸人を続けろ、それでも画家になりたかったら海外に行くなり、好きにしたらええやん」って言わはって。
スペインに行くときも「お前は絵を習うなよ」「いろいろなものを見ると真似しちゃうから、見るなら好きなひとつの美術館に絞れよ」って言ってくれて。もともと、うまくはないんだから変にうまくなろうとはせずに、人間を高めなさいと言われました。
――スペインをはじめ、マルタ島やそのほかにも海外のいろいろな所に行かれてますよね。それぞれに思い出はあると思いますが、ジミーさんが一番印象に残っている場所はどこですか?
ジミー スペインのバルセロナですね。もともと、太郎さんがパブロ・ピカソの絵を見て涙した、という話を聞いていたので、ピカソの絵を見たくてスペインに行ったんですが、ピカソはもちろん、アントニ・ガウディにすごく感銘を受けたんです。
――ジミーさんの琴線に触れた部分は、どこなんでしょう?
ジミー ガウディの建築は芸術としてすごい、というのはもちろんなんですが、生活の一部として住んでいる人たちの役に立っている、というところもすごいなと思って。もともとは絵だけだったんですが、ガウディに出会って立体もやってみたいな、と思うようになりました。
――今回の個展では未発表作を含め、100点以上の作品が展示されます。ジミーさんにとって絵を描くことの喜び、とはどういうことでしょうか?
ジミー みんながすごく褒めてくれること、かもしれないですね。特に今、僕の周りにいるスタッフの人たちがノセるのがうまいんですよ、「すごいですね! ジミーさん!」って(笑)。これまでの人生で、僕が喜ぶことで、周りの人も喜んでくれることってなかなかなかったので、褒めてもらいたいからやっている、というのは大きいと思います。
あとは、海外に住んでいる頃に描いた作品で、バスが出てくる絵があるんですけど、それがもう今は廃止されて走ってない、と聞かされたときに、絵の中だと残り続けるなと思いました。
≫≫≫ 明日公開の後編へ続く
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