アメリカ民主党にとってのウクライナとは?

しかし、ワシントンDCでは、アメリカ・ドイツ・ロシアの取り決めは無視されました。当時のウクライナは腐敗した国で、ロシアと同じようにオリガルヒが経済を支配していました。

ヒラリー・クリントンやジョー・バイデンといった民主党の政治家にとって、ウクライナから金を引き出すのは簡単であり、彼らはその誘惑には勝てなかったのです。

ワシントンDCの腐敗のレベルは、日本人を驚愕させるでしょう。ワシントンDCには、ロビイストや政治家の汚職を合法化するための弁護士軍団がいます。ウクライナは、強奪されるのを待っているお金が詰まった蜜の壺のようなものでした。民主党は中東の石油国家に友人がいなかったので、ウクライナを自分たちの財産とみなしていたのです。

大掛かりな強奪は、オバマ大統領のもとで2014年に始まりました。当時、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領は親ロシア派でした。2013年、EUはウクライナに貿易協定を提案し、多くのウクライナ人は、これをEU正式加盟への道筋と見なしました。

この通商協定により、ウクライナにヨーロッパ製品が流入し、ロシア製品が駆逐されることが予想されました。プーチンがヤヌコーヴィチに、提案された取引を拒否する
よう要求すると、ヤヌコーヴィチはプーチンの命令に従い、EUの提案を断固として拒否しました。多くのウクライナ人は激しく落胆し、これを見たオバマ政権はキーウでの大規模なデモを組織しました。

2014年2月、ヤヌコーヴィチが辞任を余儀なくされ、モスクワに逃亡すると、ビクトリア・ヌーランドやジェイク・サリバンなどのオバマ政権の高官は、ウクライナに親欧米政権を設立します。その直後、ジョー・バイデン米副大統領の息子、ハンター・バイデンが突然、ウクライナ最大のガス会社、ブリスマの取締役に就任しました。彼の取締役報酬は月収約5万ドル(500万円)でした。

なぜウクライナのオリガルヒは大金を払ってバイデンを買収することにしたのでしょうか? アメリカに守ってもらうためです。なぜ彼らはクリントン財団に何百万ドルも寄付したのでしょうか? アメリカに守ってもらうためです。しかし、このウクライナの中立的地位からの変更は、地政学的に大きな誤りだったのかもしれません。

▲ロシアのウクライナ侵攻で破壊された街 出典:SYNEL / PIXTA