朝の楽しみのコーヒー、たった15分の昼寝。ささいなことでも、意識してみると自分のからだを労わることにつながる。「ゆるゆる漢方家」として大人気の櫻井大典氏が、今すぐ始められるかんたん養生法を紹介。好きなことを目いっぱい楽しめるからだを目指して、あなたもひとつ取り入れてみては?
※本記事は、櫻井大典:著『櫻井大典先生のゆるゆる漢方生活 -こころとからだに効く!-』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
1日1~2杯を目安に楽しいコーヒーブレイクを!
朝起きたら、まずは豆から挽いた香りの良いコーヒーを飲み、一息つく……。そんなコーヒー党の方も多いかと思います。私もコーヒーが好きで、お気に入りの豆を買ってきては、ガリガリと挽いて楽しんでいます。
体によくないというイメージを抱かれがちですが、最近では、コーヒーが持つ循環器系、消化器系の保護作用などにも注目が集まっています。つまり、コーヒーは決して体に悪いものではない、ということです。
薬膳の視点で見たコーヒーの効能には、次のものがあります。
- 気分を落ち着ける作用
- 頭をスッキリさせる作用
- 利尿作用
- お酒の毒を抜く作用
また、コーヒーは温性なので、適度に飲む限りでは、体を冷やすこともありません。
ただし、飲みすぎはいけません。過剰に摂ると、これらのよい作用が逆に災いして、体内の必要なうるおいまでも消耗してしまい、乾燥を助長してしまいます。
なので、肌や髪の毛が乾燥しがちな方、あるいは喉や口がよく渇くような場合も、ひかえめにするほうがよいでしょう。また、温めるということは、熱を助長することにもつながるので、肌の炎症がある場合やのどが痛い、目のかゆみが強い場合なども避けたほうが無難です。
たくさん飲むと、うるおいを消耗してしまうだけでなく、イライラしやすくなったり、興奮しやすくなったり、熱がこもったりと、害が目立つようになってしまいます。コーヒーの特性を知って、適切な付き合い方をするとよいでしょう。
中医学では、よい香りにはリラックス効果があると考えられています。たとえば、「コーヒーの味は苦手だけど、香りは好き」という方もいらっしゃるかもしれませんね。良い香りのコーヒーを淹れるには、炒りたての豆、挽きたての粉を使ったものがおすすめです。
香りは時間が経つと薄くなってしまうので、淹れたら早めに楽しみましょう。コーヒーの味や香りにはたくさんの種類があるので、お気に入りのものを見つけて、リラックスタイムに少しずつ飲むようにしてください。
よい睡眠のためにも昼寝は20分以内に
中医学では、夏には少し昼寝をするのがよい、という考え方があります。なぜなら、夏はたとえ寝るのが遅くなっても、早く起きるのがよいとされていますから、そんな時期は少しだけ昼寝をして、体を休めることが大切だというわけです。
電車の中でうたた寝をしただけでも、その後スッキリと目が覚めて、頭がまた冴えるようになった、休みの日にふと居眠りをしたら、その後、逆にだるくなってしまった、あるいは、昼寝をしてしまったがために、夜に眠れなくなったという経験がある人も少なくないでしょう。
スッキリ目覚めて、夜の睡眠にも影響しない昼寝(仮眠)をするためには、留意すべきポイントがあります。
まず、睡眠には4つのステージがあることを覚えておいてください。
1つめと2つめは比較的浅い睡眠で、3つめと4つめが深い睡眠とされています。
第1ステージは、最初のウトウト段階。
第2ステージは、その5~10分後、呼吸が整ってくるような段階です。
第3ステージは、眠り始めて20分を超えるころから突入します。
第4ステージは、眠り始めて30分以降の、最も深い睡眠段階のことです。
仮に、日中に30分以上の昼寝をしてしまうと、この第3、第4の深いステージに達してしまいますから、夜に深く眠れなくなってしまいます。なぜなら、3と4の深い睡眠ステージは1日に限られた分だけしかないためです。日中に消費すると、夜の分がなくなってしまうというわけですね。
以上のことからも、昼寝は15~20分程度が好ましいといえるでしょう。
ちなみに、昼寝にベストな時間帯は、11時から13時のあいだ。
中医学では、この時間帯を、精神を管轄する五臓の心(しん)の時間帯としています。11時から13時はちょうど昼休みの方も多いでしょうから、休みの間に15分程度の軽い睡眠を取ることで、午後も元気に動けるようになることでしょう。