「ライブめちゃくちゃ嫌い」その真意は!?
――音作りのお話をお聞きしたいんですが、先ほど「ロックっぽい表現を絶対にしないように」とメンバーの皆さんに伝えたとおっしゃってましたが、具体的にはどういう音を目指していたんですか?
有馬 the perfect meの西村匠(たくみ)くんに、ミックスとマスタリングをお願いしたんですが、既に存在しているのにモダンな感じって、イメージは共有していました。グレートストレンジミュージックっていうのかな、1960年代のブラジルのアルバムとか聞いたら、すっごく新しかったりして。
――なんか感じたのは、雰囲気の素敵なお店で流れてて「この曲すごく新しくてカッコいいじゃん」って思ってShazamしたら、「え、かなり昔の曲じゃん!」みたいな。
有馬 まさにそうですね。そういうことを意識的にできるのって、自分たちだけだって思うので。
――おとぎ話のライブを見ていると、皆さんがプロフェッショナルを提示しながら、そこからはみ出したロックンロールの良さ、みたいなのを感じるんですが、おとぎ話にとってライブというのは、どういう存在ですか?
有馬 あー、それで言うと、僕ライブめちゃくちゃ嫌いですね(笑)。
――えーっ!!!
有馬 (笑)。できることなら人に見られたくない。だから、わりと録音しているときとか、曲を作っているときと同じ気持ちでライブをやっているかもしれませんね。ほかのメンバーとかは、ライブで発散しているかもしれないけど(笑)、僕は全然そういう気持ちじゃなくて。会場に到着しても、衣装を靴下まで着替えないとライブに臨めないし。
――恥ずかしいところを見られている、みたいな感覚でしょうか?
有馬 そうかもしれません。どうやればいいだろう、と未だに思うし。ただ、ライブってお客さんが来ないと成立しないものなので、いつも一個の作品を残すつもりでやってますね。
――素晴らしい。僕は音楽と同じくらいお笑いも好きで、どんなベテランの漫才師でも、出番前にちょっと緊張しているのがいいなって思うんです。それに近いのかな、と今のお話を聞いてて思いました。人前に立つことにある種、神聖な気持ちを抱いている人のほうがいいライブができる。
有馬 僕、その気持ちが特に強いかもしれません。同じことをやっていると不安になってしまうので、セットリストも変えてますね。ただ、ありがたいことに尊敬するミュージシャンのバックバンドとしてライブをすることもあるんですけど、そのときはすっごくライブ楽しいです!
――なるほど、それは自分がフロントマンじゃないからですか?
有馬 そうですね、音楽に徹することができるって感覚ですかね。おとぎ話としてライブをやっているときは、音楽をやっている、というより作品を作っている感覚ですね。……こんな話するの初めてかもしれないな……(笑)。