野音の次は日本武道館公演をやりたい!
――貴重なお話ありがとうございます! おとぎ話にとって、直近で一番大きいのが8月13日の「おとぎ話日比谷野外大音楽堂公演<OUR VISION>」だと思うのですが、この野音公演は“次の10年に向けて”の位置づけだとお話されていて、とてもうれしかったです。
有馬 やっぱりオーディエンスとして、ゆらゆら帝国とかを野音で見ていたし、いつか立ちたいって目標のひとつではあったんですけど、なかなかそういう機会もなくて、これまで一度も野音でライブしたことがなかったんですよね。
――例えば、バンドの会議で「次は野音だ!」みたいな話になることもなかったんでしょうか?
有馬 ないですね。まず、いつも目の前のライブを成功させることしか考えてないんで。事務所に入らず自分たちだけでやっているので、活動をもっとジャンプアップさせて次のステージへ、って考えたこともなかった。今回の野音は、20周年だし、一度くらい大きな所でやってみたら?って、新代田FEVERの方々とか、自分が信頼している方々に背中を押してもらったのが大きいですね。ただ、これが到達点じゃなくて、『US』ってアルバムを作れたからこそ、たどり着けたのかなって思っています。
――『US』を作るときに、何か影響を受けたカルチャーはありますか?
有馬 個人的なトピックで言うと、2年前に離婚したので、自分の人生について考えることが増えたんです。自分は男性男性している人間じゃないな、って気づいて。じゃあ、そんな自分がどんな音楽に共感しているかって思ったときに、女性ミュージシャンの曲を聞くことが増えました。
ソランジュ〔ビヨンセの妹、2016年、2019年にリリースしたアルバムは、どちらも多くの批評家から絶賛された〕とか宇多田ヒカルさんとか。例えば、宇多田さんの曲って、一人称が「僕」だったりするじゃないですか。でも性別問わず、さまざまな人に届く。それって、すごいことだなって感じてて。だから、ひとつの性別に決めつけるような歌詞を書くのをやめました。
――それを聞けてうれしかったです。まさに、このアルバムからは自然なジェンダーレスを感じていたので。
有馬 僕が弾き語りをすると、お客さんが全員女性だったりするんです。ほかの出演者から“有馬の客、女性ばっかですごいね”って言われて、どういう意味?って、なんかスゲームカついたり(笑)。やっぱり性別って側(がわ)でしかないから。
――本当にそうだと思います。有馬さんは映画もよく見られるイメージなんですけど、ここ最近で見た映画はなんですか?
有馬 何を見たかな……あ、最新作じゃないけど、ジョン・ウォーターズの映画をよく見てましたね。ナンセンス、悪趣味って言われる監督ですけど、『I love ペッカー』とか。あと、アリ・アスター監督の『ヘレディタリー/継承』、今公開されている作品だとポール・トーマス・アンダーソンの『リコリス・ピザ』、スゲー良かったですね。あ! 思い出した! それでいうと『US』作ってるときは、ポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』見てましたね。
――『マグノリア』! あ、でもすごくわかる気がします。おとぎ話っぽいし、このアルバムっぽい。いろんな価値観あっていいじゃん、という映画ですよね。
有馬 そうですね、思い出してよかった(笑)
――この野音は次の10年に向けて、というお話を聞けたので、今後のおとぎ話の目標についてお聞きしたいんですが。
有馬 野音もまだ終わってないですが、日本武道館でいつか公演をやりたいですね。今まで、武道館でライブやりたいなんて一切思わなかったんですけど、野音が決まって初めてやってみたいなって。実は日本武道館には縁があって、僕らが『THE WORLD』をリリースして、さあこれからどうしようかってときに、牛尾くんが失踪して、戻ってきたタイミングで、仲直りを兼ねて行ったのがBlurの武道館公演だったんです。
みんなでいい感じに盛り上がって、肩を組んで「Tender」歌ったりして(笑)。そこで、felicityの櫻木さんにたまたま会ったことから、レーベルに所属する流れとなったんです。今のおとぎ話につながっていったのが武道館なので、思い入れもあるから、いつかライブをしてみたいですね。
〇OTOGIVANASHI / おとぎ話|FALLING (Official Music Video)
おとぎ話 <OUR VISION>
2022年8月13日(土)
東京都 日比谷野外大音楽堂
開場16:00 / 開演17:00
チケット:全席指定 ¥6,600(税込)
e+:https://eplus.jp/sf/detail/0204530001-P0030054P021001
チケットぴあ:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2195162
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