プーチンが側近に寝首をかかれる可能性もある

桜林 今まさに政治的な腕力が問われている状況だと思うんですが、今までも、たとえばシリアで化学兵器が使われてもアメリカは軍事介入をしなかった、などの前例があります。

仮にロシアが核を使ったときに、西側社会からの反撃もなければ、たとえば中国なんかもそういう姿勢を見ているでしょうから、これから先の国際社会にとって“悪しき前例”になると思われます。今はまさにそういう事態を招かないための正念場だと見ていいのでしょうか。

小野田(空) そうですね。現状は、おそらくプーチン大統領の動向をモニターしているということなのでしょう。つまりキエフに対して、どこまで何をしようとしているのかと。

ウクライナ側の政治的な意思を変えさせようというのは間違いないんだけど、当然のことながらウクライナが、ロシアのいう「非武装化」や「中立化」を受け入れるはずがない。だから、落とし所をどこに求めるのかというのは非常に難しいけれども、しばらくはこの状態が続くんじゃないですかね。そのあいだにロシア側は、どんどん砲撃のようなもので圧力をかけていくということにはなりますよね。

桜林 ロシア側はウクライナみたいに他からの援助のようなものがないわけですけども、そうするとやはりだんだん干上がってしまうという事態にはならないんですかね?

小野田(空) 中国が助けるかどうかですよね。

小川(陸) でも、現状はロシアにある程度の資源があるから、まだ自給できるという感じはしますけどね。

桜林 そこはじゃあ、あまり甘く見ちゃいけないというところなんですかね。

伊藤(海) 次のロシアの大統領選がどうなるかがカギですよね。プーチンは2024年に任期を迎えて、次の大統領選に出るわけでしょう。

プーチン政権を支えるシロヴィキ(治安・国防関係省庁の職員とその出身者)たちは損得で動くから、平気で首をすげ替えるんですよ。ゴルバチョフだってクーデター起こされたでしょ。ああいうことやるんですよ、シロヴィキたちは。「こいつを担いだら大統領選で勝てない」と思ったらやりかねないわけだから、そういう動きもこれからなくもないかもしれません。

▲プーチンが側近に寝首をかかれる可能性はあるのか? イメージ:f11photo / PIXTA