大事なコンサートのオープニングを任されたAMEFURASSHI
7月30日と31日の両日、ももいろクローバーZは、埼玉・ベルーナドームで『ももクロ夏のバカ騒ぎ2022〜MOMOFEST〜』を開催した。
数年前まで、真夏のドーム公演は当たり前のことだったが、コロナ禍でここ2年間は開催を断念し、配信ライブをおこなってきただけに、またドームに帰ってくることができたのは感無量である。
そして、その大事なコンサートのオープニングアクトを任されたのが、AMEFURASSHIの4人だった。オープニングアクトといっても、ほかの会場とはちょっと状況が異なる。会場のベルーナドーム(西武ドームといったほうがわかりやすいかもしれない)は、密閉された空間ではないので自然光が入ってくる。
さらに開演の30分前というタイミング。まだ観客が全員、入りきった状態ではなく、絶賛入場中という環境下である。正直、ステージに集中してもらいにくいなかでのパフォーマンス、ということになる。
リハーサル直前、ステージの裏で待機していたAMEFURASSHIに会いに行った。
この時点では、こうやって記事を書く予定もなく、あくまで ももクロの取材で会場入りしていたため、本当に挨拶をしに行くだけのつもりだったのだが、そこでの4人の姿にちょっと心を動かされてしまった。
ガッチガチに緊張している。
ここまで硬直している4人の姿を見るのは、いつ以来だろうか?
コロナ以前は、夏のスタジアム公演は当たり前のように行われていたので、あまり意識しなかったのだが、超巨大なステージやセットを組むので、その裏には、けっこう大きな空間ができる。変な話、ここでちょっとしたライブが開催できそうなスペース。本番中は、たくさんのスタッフが行き来したりするので、そこまで広さは感じないのだが、今はその空間に4人しかいない。たしかに得も言われぬ不安に襲われる気持ちはわかる。
ちょっと声をかけるのも憚れるような空気感に、一度、客席側に戻ると、リハーサルを終えた ももクロがステージから降りてきた。本来であれば、ここから楽屋に戻るまでの道すがら、開演直前のコメントを拾えるチャンスなのだが、今日ばかりはステージが気にかかる。
佐々木彩夏に声をかけられたので、正直に「このままステージ前にとどまって、AMEFURASSHIのリハーサルを見る」と伝えた。「ちょっと待ってよ、今日、私たちのライブなんだけどぉ〜」と、まっとうなクレームをつけてきた佐々木彩夏だったが、スッとステージのほうを振り返ると「あぁ、そういうことか……うん、ちゃんと見守ってあげてください!」と言って、その場から立ち去っていった。
ステージの上には、所在なさげにリハーサルの開始を待っている、不安そうな4人の姿があった。そうなのだ。そういうことなのである。いつものAMEFURASSHIだったら、ここまで心配しないけれど、こんな姿を見てしまったら、ももクロ姐さん、ごめんなさいになってしまう(なによりもリハーサルを見て、ももクロのパフォーマンスからは安心感しか抱かなかったのである!)。
AMEFURASSHIのメンバーがベルーナドームのステージに立つのは、これが初めてではない。フェスやイベントなどで、何度かこのステージを踏んでいるのだが、大事なオープニングアクトを任されたという重圧は、これまでの経験とはかなり違っている部分。まだ人っこ一人いない開演前のスタジアムの客席は、ただただ広くて、メンバーにとっては、さらに緊張を高める要因にもなっていた。
しかし、いざ音楽が流れ、パフォーマンスがスタートすると、一瞬にして、その緊張の色が解けていくのがわかった。
堂々と、いま持てる力さえ発揮できれば、そのパフォーマンスはドームの端っこまで届く、と確信した瞬間でもあった。
オープニングアクトとはいえ、本番と同じステージを使うので、その広さは変わらない。それだけでなく大型モニターや、それに付随する照明などの演出もそのまま使えるという好条件。いかに自然光が入ってきて明るい空間だとはいっても、これだけの演出が発動すれば、誰もが一度はステージに注目する。その人たちに「えっ、なんだ、この子たちは?」と二度見させることができたら、まさに「爪痕を残した」と言える。