どうやって爪痕を残すかあがいたメンバーたち
2020年1月19日。
この日、横浜アリーナでは『スタプラアイドルフェスティバル』が開催されていた。
これはニッポン放送の人気番組『ミューコミプラス』とスターダストプラネットがコラボして実現したイベントで、サブタイトルは「今宵、シンデレラが決まる」。
フェスということで、すでにメジャーデビューを果たしている「お姉さん組」のももいろクローバーZ、私立恵比寿中学、TEAM SHACHI、たこやきレインボーの4組はリスナーと一緒に作った「夢のセットリスト」でそれぞれライブを開催するのだが、2014年以降に結成された8グループは開場時間中にライブを行なうほか、このイベントの「メイン企画」にも深く関わることになる。
その企画とは「シンデレラ決定戦」。若手8グループ、全46人がバラバラにエントリーし、お姉さんグループのヒット曲をメドレーで歌う。その歌割りは抽選で決められるので、かなり運の要素も強くなるのだが、関係者が口を揃えるのは「アイドルにとって運も実力のうち!」。まず、ここで愛来に試練が訪れる。
なんと、彼女のエントリーナンバーは「2」。
かなり長く続くメドレーの中で、ほぼしょっぱなに歌うのだから、これで観客の印象に残るのは至難の業。せめてサビの部分を担当できれば、まだインパクトを残せたのかもしれないが、それすらも叶わなかった。
「正直、あっ、終わったなって思いました(苦笑)。でも、大きなチャンスじゃないですか? これを逃すわけにはいかない、という気持ちはものすごくあったので、メンバーで『どうやって爪跡を残そうか?』と話し合いました」
ただシンデレラを決める、というだけの話ではない。
シンデレラに選ばれると、なんと「ももクロのライブのあとにたったひとりでステージに登場し、ソロで好きなスターダストプラネットの楽曲を歌える」という特典がある。ももクロのあとの“大トリ”を務めるのだから、こんなにおいしい話もない。
さらに全グループがステージに登場してのエンディングでも、センターの座で歌い、1組ずつステージから去っていく演出でも、シンデレラが最後まで残り、このイベントの締めを担当できる。1万人の視線を独り占め、なのだ。
そして、翌日には『ミューコミプラス』にゲストとして生出演する、という特典も。これにより、シンデレラの称号は一夜限りのものではなくなり、横浜アリーナを飛び出して全国に発信できることになる。こんなチャンス、そうそうあるものではない。