『本能寺の変』でブレイクした年末に・・・
――先程お話したみたいに、結成から20年。紆余曲折あったと思うんです。
まちゃあき そうですね。
よしお ありましたね……。
――ここではそういうスキャンダルとかの話を取り立てて聞きたいわけじゃなくて、それよりもファンの方も知らないような、何気ない場面や言葉でも、印象に残っていること、それをお聞きしたいなと思ったんです。
まちゃあき もともと4人でやっていて、よしおと2人になったときに持ちネタが一個もなくなったんです。それで「じゃあYouTube始めようか」となって、あのときの手ぶら感、疾走感っていうのは、今出そうとしても出ないものなので、すごく記憶に残ってますね。
――普通だったら、どうしようってヘコむところですよね。
まちゃあき そうですね、僕ら逆境に強いんですよ。いきなり事務所がなくなったりとかもあったな(笑)。
――(笑)、相当ですよね。
まちゃあき でも、そのたびにエグスプロージョンとしてはいい方向に向いている。
――このニュースクランチというサイトの「クランチ」って言葉には「土壇場」って意味もあるんです。
まちゃあき へえ! そうなんですね。
――ちょうど今のお話につながるなって思いました。お二人の土壇場回避術ってありますか?
まちゃあき 当然かもしれないですけど、とにかく前向きにってことでしょうか。僕ら、調子が良いときってめちゃくちゃ悩んでいるんですよ、逆に土壇場のときのほうが「どうせ手ぶらだしガンガンいっちゃえ!」的な感じでいられる。うまくいってるときのほうが「大丈夫かな?」って慎重なんですよね。
――なんかエグスプロージョンっぽいですね。土壇場を楽しんでしまう軽やかさっていうのはわかる気がします。よしおさんの思い出深い場面はどうですか?
よしお 本能寺の変が生まれて、ありがたいことにお仕事もたくさん頂けて、その年の一番最後、大阪での仕事が終わったときに、喫煙所でまちゃあきさんと「1年間、本当にお疲れさま」って挨拶したのが、すごく場面として残ってますね。“ずっとこういうのは続かないだろうし、5年後とかにまた元に戻っても、1つ1つまた丁寧に仕事しよう、とりあえず1年間お疲れさま”ってした握手は、本当に良い握手で、今でも思い出します。
まちゃあき あったね、本当に忙しかったもんなあ。
――改めて思ったんですけど、もう活動できないとか、解散してしまうかもしれない、という危機もたくさんあったと思うんです。でも、それぞれが違う前向きだからこそ、続けられてこれたのかなって。どちらかが失敗しても、そこから目をそらさず、きちんと受け止める器量がお二人ともにある。どちらかでも欠けてたら“じゃあ勝手にしろ”ってなってると思うんですよね。
よしお そうですね。
まちゃあき うん、そうだと思います。だから、改めてベストの収録曲を見ると、さっき言った『POPCORN』もそうですけど、そのときのモードがめちゃくちゃ曲に表れてるなと思いました。もう少し隠したほうがいいかなって思うぐらい(笑)。
お互いへの感謝を伝える
――ファンの方、ご自身で選んだベストを見て、改めて気づいたことはありますか? 例えば、“この曲、自分は好きなのにファンの方の反応があまりなんだよな”とか、“やっぱり俺はこの曲が好きなんだな”とか。
まちゃあき ファンの方の反応で言うと、『Shoe』ですね。世界観がかなりカッコよくて好みなんです。はじまりが「Shoes」じゃなくて「Shoe」なのは、片方の靴しか履いてない男がゴミ捨て場にいて、カラスがGood Morningって声をかけるところから始まるんです。めちゃくちゃ雰囲気があって、できたとき“これは良いぞ!”って思った。
――たしかに、あの曲はちょっと趣きが違ってカッコいいですよね。
まちゃあき でも、そのときちょうど、おばらさんが活動休止中だったんですよ、「Shoes」じゃなくて「Shoe」って1足なのも、ネガティブなイメージで取られちゃって。
――あー、なるほど…!
まちゃあき ファンの方からも「私はShoeじゃなくて、Shoesがいいです!」みたいな(笑)。“いや、そういうつもりじゃないんだけど……”と思って、ちょっと悲しかった(笑)。
よしお 僕が好きだなって思ったのは『八月の風』ですね。やっぱり、この曲だけは渡さねえぞ! でも、ちゃんと良さにも気づけよ! みたいな気持ちがあって。
まちゃあき いや、別にファンの方相手に喧嘩腰にならなくていいのよ(笑)。
よしお (笑)。僕の活動休止期間中に制作されたこの曲が入ってないと嘘ですし、この曲はファンの方のベストに入ってたとしても、絶対に自分のベストに入れたかったですね。
――この曲は、まちゃあきさんからよしおさんへの想いが特に込められていると思うんですけど、20周年を迎えて、ここだから言える感謝の言葉はありますか?
ふたり えーっ……(と言いながらお互い笑って見つめ合う)。
――どっちから先に言うんだ? みたいな感じになってますね(笑)。
まちゃあき まあ、でも“よく付いてきたね”って言葉ですかね。僕はチャレンジするのを恐れないタイプだったし、緩流と激流だったら激流を選ぶんですけど、それに対して文句ひとつ言わないで付いてきてくれたので、そこはすごく感謝したいですね。
よしお 僕はエグスプロージョンという存在を引っ張ってくれたのもそうですし、今の結果を作ったのは、まちゃあきさんのおかげだなって思ってます。さっき言ってましたけど、まちゃあきさんが先頭切って、野心の眼をたぎらせて走っていくので、そこの邪魔をしないように、ずっとお供していく、そんな気持ちだったので、感謝しかないです、本当に。
――ファンの方の存在も、お二人にとっては大きな存在ですよね。
よしお というか、もうなくてはならない存在ですね。
――そこに対しての感謝の気持ちも、決して湿っぽくならないで表現されているのがとてもいいなと思いました。『FAN's BEST』が『WEDDING HIGH』で終わってるのもすごくいいなって。
まちゃあき たぶん、そういうことしかできない性格なんですよね(笑)。でも、そこが自分でも気に入ってます。